ニッケイ新聞 2010年4月28日付け
写真家、神沢ルシーレさんが撮りためたユバ農場(コムニダーデ・ユバ協会=弓場常雄代表)の作品が写真集『弓場』に結実し、5月1日午前11時からサンパウロ市ルス駅横にある州立美術館(ピナコテッカ)で出版記念パーティが行われる。
農場の中を手を取って歩く新郎新婦、本番の前に化粧に没頭する役者、赤土を行くトラクター、抜けるような青空のもとで野球する姿、マンガを読む子供たちなど、神沢さんが切り取ったユバの日常が、本の中に凝縮されている。
創立者の弓場勇は「農民は真の芸術家の純粋さを持ち合わせていなければ土を愛することはできない」という言葉を残しているが、その思想は今も脈々と生きていることが写真の端々に現れている。本には、ユバの歴史や思想について説明された文章が、日本語、英語、ポ語で掲載されており、写真説明以上の余韻を与えている。
神沢さんの父・義人医師は04年に亡くなるまでユバ農場の主治医を務めていた。ルシーレさんの本業はスチュワーデスだが、世界各国の写真を撮りため、寄稿雑誌『テーラ』などに掲載してきた。移民百周年を記念して07年10月からセー広場の連邦貯蓄銀行の文化センターで、同作品の写真展をしている。
当日は土曜なので入場無料な上、正午からユババレエが3曲披露されるなど華やかな会になりそうだ。