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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年4月28日付け

 日本ではマスコミは「不偏不党」「公正中立」というイメージが一般的だが、どうも当地ではそうでもない。例えばグローボ局(5ch)とレコルジ局(7ch)の対立は、日本では見られない険悪な様相を呈している▼21日に行われたウニベルサル教会(プロテスタント)の全伯同時集会「Dデイ」の様子を、グローボが「主催したのは教会だが、現出された光景は地獄のよう」との信者の車による渋滞を皮肉るコメントを流し、会場に残されたゴミの山の写真を新聞版の第1面で大々的に報じた▼それに対し、ウニベルサルに関係の深いレコルジ局は全伯で800万人の集会参加があり、カサビサンパウロ市長の「とくに混乱もなく」とのコメントを何度も流した。さらに一般視聴者の声として「渋滞はあった。でもそれが問題ならグローボのカーニバルも止めたら?」との言葉まで放送した▼グローボには国教たるカトリック系番組が多く、宗教を背景にした対立に見えなくもない。もちろん新興テレビ局のレコルジが、絶対的視聴率を誇るグローボを目の敵にして批判することで、結果的に自局の優位性を視聴者にアピールする戦略もあるだろう▼レコルジが数カ月前、リオに巨大な収録スタジオをオープンした時、わざわざルーラ大統領が出席して「メディアの寡占状態は望ましくない。多様化を歓迎する」という挨拶をしていたが明らかにグルーボへの当てこすりに聞こえた▼『ベージャ』誌05年7月20日付け記事によれば、同宗派には46人の連邦下議を先頭に上議、無数の州議員、市議会議員がいる。選挙の年だけに、この対立はさらに熱を帯びるだろう。(深)