ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 同性愛者にも養子取る権利=高等裁が2人の母認める=子供に焦点を当てた判決=法改正には時間要す?

同性愛者にも養子取る権利=高等裁が2人の母認める=子供に焦点を当てた判決=法改正には時間要す?

ニッケイ新聞 2010年4月29日付け

 連邦下院では同性同士のカップルによる養子縁組を禁じる法案が審議されようとしている最中、南大河州高等裁判所が、2人の養子を育てている女性カップルに通常の夫婦による養子縁組と同様の権利を認める判決を出したと28日付伯字紙が報じた。高等裁レベルでは初の判決は、同性カップルの養子縁組への道を開くものとして注目されている。

 夫婦というものは、男性と女性とからなる―誰もが常識だと考えていた事だが、養子縁組される子供の視点から捉え直された時、4人の判事達は皆、同性愛に基づく同性同士のカップルにも養子縁組上、通常の夫婦と同じ権利を与えるべきとの結論に達したという。
 今回の判決の対象となった例は、南大河州バジェに住むルシアナ・レイス・マイダナさんとリジア・グテレスさんのカップルだ。
 2人の内1人が養子2人を引き取ったのは、子供達がまだ赤ん坊だった時の事。その後、健康プランその他、より良い養育条件を備えるため、2人の名前で子供達を養育したいと考えて出した訴えは2006年の地裁判決で認められたが、検察庁がストップをかけたため、高等裁に持ち込まれたものだ。
 06年に同件を扱った地裁判事は、2人の母という関係が認められなければ、正規に養子縁組した女性が死亡した合、子供達は別の女性から引き離されて孤児院に入れられるなど、子供達の権利が削られ、将来も不安定なものとなると考え、ためらわずに承認する事を決めたと述懐。
 今回の高等裁も、「私達の関心の的は子供達であり、子供達の関心は引き取ってもらえる事(家庭を得る事)」との判断がなされ、子供達と養育者側の女性達を一つの家族として扱った。
 同性愛についての社会認識拡大や法整備はまだまだで、同性同士の親に育てられた子供がどんな差別や困難に出会うかは未知数だが、同性カップルによる養子縁組に好意的な判決は約20件。06年に4人兄弟を引き取り、09年に正式な養育権も認められたある男性カップルは、家族は今や「あ、うん」の呼吸で生活を営んでいるという。
 全国には新しい家庭を求める子供は何万人もおり、養子縁組を願っても種々の事情で叶わない人達も数多い。考慮すべき課題も多い養子縁組だが、社会の目が弱者にも向けられている事を示す判決の意味は大きい。