ニッケイ新聞 2010年4月29日付け
サンパウロ市の不動産販売件数が今年初め、すでに記録的な数字をたたき出し、このままいけば今年中に3万8千件を販売し、ここ30年での最高記録になる可能性があると25日付エスタード紙が報じた。
サンパウロ州不動産取引組合(Secovi SP)によれば、2月には前年同月比83・7%増の2858件の住宅を販売。年初めの2カ月間では前年同期比63・5%増、世界経済危機前の一昨年同期比でも7%増の4366件が売買された。
ブラジル資産調査社の調べによれば、需要拡大に伴い、今年1~3月のサンパウロ大都市圏の新築家屋は、1万4219件に昇った。前年比3倍で、08年の不動産ブームも超す勢いとなっている。
また、前記1万4219件中56・7%が2寝室の物件で、32・5%が3寝室の物件、4寝室の高めの物件になると4・5%だ。小型住宅の需要が多く、価格の高騰がみられる。2寝室の物件では1メートル四方の相場が、今年に入り昨年よりも25%上昇。3、4寝室の物件の場合は、それぞれ6%、2・4%の上昇に留まった。
不動産購買力の向上は、貸付制度や所得の増加が後押しされたものとみられる。昨年度の不動産貸付額はすでに、2002年の50億レアルから10倍以上の570億レアルに昇っており、今年はさらなる増加が予測される。
不動産の販売増加は、サンパウロ市だけのことでなく、全国的に増加傾向。2月時点の建設事業での就労人口は、08年比13%増となる100万人以上となっている。
一方、こういった動きの中で、投資家たちの賃借事業への参加も再度高まりを見せている。ある不動産業者では、年頭の取引の15%が賃借を目的とする投資家への販売であるなど、業界関係者も目を見張る状態だ。
また、サンパウロ市内にある住宅の家賃は、3月に2月比で2%、ここ12カ月では10%も上昇した。住宅家賃は、不動産価格の0・75~0・80%が相場とされるが、家賃調整に使われるIGP―M(総合物価指数)は、この12カ月で1・94%しか上がっていない。