ニッケイ新聞 2010年4月29日付け
5月に予定されているルーラ大統領のイラン訪問を前に、同国を訪問したアモリン外相は、同国を旅立つ前の会見で、イランが保有する3・5%の低濃縮ウランを20%に濃縮する作業はブラジル内でも可能と示唆した。
28日付伯字紙によれば、27日の会見で外相は、イランに対し、国際原子力機関(IAEA)提案を汲んだ形での濃縮ウラン平和利用は支援するが、イランは、濃縮ウランの利用は平和目的だけである事を国際社会に向けて保証する必要があると強調した。
一方で国際社会に向けては、対話による再制裁発動回避を望む立場を再度確認。同国訪問前に訪問したロシアは制裁同調に傾いているが、トルコはまだ、ブラジル同様に制裁反対の立場の様だ。
制裁採択については米国が6月までに態度決定をと訴えているため、ルーラ大統領の同国訪問と前後するような形で国連安全保障理事会が開かれる可能性もある。
安保理での決議では15カ国による投票が行われ、決議案採択には、少なくとも9カ国の賛同と常任理事国が拒否権行使をしない事が条件。
マルコ・ガルシアブラジル大統領顧問は、国際社会では、安保理での制裁採択以外に、イランへの軍派遣の動きも高まっている事を懸念。軍派遣となれば、事態は更に悪化すると警告を発している。
イラン側は制裁発動を避けようと根回しに奔走しているが、28日までの報道で見る限り、アハマディネジャド大統領は自国内での濃縮を諦めきれない状態のようだ。