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春の叙勲=ブラジルから3氏受章=西谷、山中両氏に邦人叙勲=外国人叙勲は続元保健相

ニッケイ新聞 2010年4月29日付け

 日本政府は29日に2010年(平成22年)春の叙勲受章者を発表した。ブラジルからは邦人叙勲2人、外国人叙勲1人の計3人が受章。在サンパウロ日本国総領事館、在ブラジル日本国大使館、在クリチーバ日本国総領事館の三管内から選ばれた。
 在サンパウロ総領事館管内では、西谷博さん(90、鳥取県、帰化人、サンパウロ市在住)が邦人叙勲で旭日双光章を受章した。
 西谷さんは1929年に移住。戦後60年代にオズワルド・クルース日伯文化協会会長を務め、協会の発展、邦人の団結、安定に貢献した。サンパウロへ移ってからは鳥取県人会長、ブラジル日本都道府県人会連合会会長などを歴任し、鳥取県郷土芸能「鳥取しゃんしゃん傘踊り」の継承、普及に寄与。カルモ公園桜イッペー植樹委員会会長として同園内桜園の整備に尽力し、日伯修好100周年の1995年には同公園で600本のイッペー植樹活動なども行った。
 ニッケイ新聞の取材に対し、西谷さんは「正直びっくりしています。嬉しいです。長生きしたからじゃないでしょうか」と喜びを表し、「これからも今まで通り、自分の好きな事を、周りの人と一緒にやっていきたい」と語った。
 在ブラジル日本国大使館管内では、同じく邦人叙勲で山中理さん(72、北海道、サンパウロ市在住)が瑞宝中綬章を受章した。
 山中さんは日本政府のブラジル移住政策の円滑な実施、日伯セラード農業開発協力事業の成功、日伯2国間における人材交流の促進に貢献。連邦農務大臣特別補佐官も務めた。
 在クリチーバ総領事館管内で外国人叙勲を受けたのは、連邦保健大臣を務めた続正剛さん(77、二世)。
 続さんはサンパウロ州プロミッソン出身。ブラジル医療分野の指導的立場にたって母校であるサンパウロ大学の教授として後進の指導に当たる傍ら、人工心臓弁の開発、同大学付属病院設立委員会委員長として貢献。89年にサルネイ政権で日系人としては3人目、ブラジル民主化後では初の閣僚として保健大臣の要職を務めた。
 在任中は国内初のB型肝炎予防注射キャンペーン、小児髄膜炎対策に尽力すると共に、医療保険分担金未払いの低所得者層、外国人でも無償で診療を受けられる単一保健システムを確立。その他、世界保健機関(WHO)同機関コンサルタントおよび執行部ブラジル代表を務め、熱帯伝染病対策等を通じて同機関の発展に努めた。
 第2次世界大戦によりブラジル政府に接収された日本病院(現サンタクルース病院)の運営権返還にも尽力し、同病院の院長も務めた。
 また08年の日本移民百周年に当たってサンタカタリーナ日系団体連合会の創立に尽力、初代会長として同地百周年事業への州・各市政府の協力取り付けに尽力した。