地下鉄乗り降り円滑に=プラットフォームに鉄柵=青、緑線の7駅で導入
ニッケイ新聞 2010年5月1日付け
日本の通勤ラッシュをも連想させるような混雑が著しいサンパウロ市の地下鉄では、激しい押し込み乗車で足を躓くなどケガをする人もいるほど。そんなサンパウロ市地下鉄で乗り降りの円滑化を図ろうと、7駅のプラットフォームに乗車客と下車客の動きを二手に分ける鉄冊が設けられることが発表された。
4月30日付エスタード紙には、サコマン~ヴィラ・マダレーナ間でこれまで快適な運行が行われてきた地下鉄2号(緑)線も日に日に利用者が増加、他の路線と同じく通勤ラッシュの混雑が高まっていると報じられている。同路線の3月の1日あたり平均利用者数は、昨年同月の41万6400人を大幅に上回り、47万2100人にのぼった。
同月のピーク時には、一方向の乗車客だけで1時間に3万8千人という利用者数を記録。その数は、他の路線より小規模な同路線の収容人数をすでに超えており、混乱がでている状態だ。
4月30日付フォーリャ紙によれば、こういったサンパウロ市の地下鉄事情を受けて2号(緑)線と1号(青)線沿いにある地下鉄駅7駅では、乗客の乗り降りを円滑化する鉄柵の設置が進められることが決定した。
その鉄柵というのは、両路線上に位置するパライーゾ駅で2008年から試験的に設置されていた柵と同じタイプのもの。車両の各扉の到着位置に設置され、乗車客の入口と下車客の出口とに空間を仕切る。乗車客が扉正面に待機し、下車客が両脇より扉沿いに外に出るという移動の流れを生み出す。
パライーゾ駅利用者へのアンケート調査では、「押し込み乗車が減って安全」、「乗車を待つ人の列も統制されている」と、利用者の87%がその柵の効果を認めている。
今回、観光旅行者など普段地下鉄を利用しない人の利用もあり、乗車時の混乱が懸念されるコンソラソン、ブリガデイロ、アナ・ローザ、サンターナ、ポルトゥゲーザ・チエテ、サンベント、サンタクルスの7駅での適用を決定、8カ月以内に設置されることになった。
今回の処置で、混雑や乗り降りの際の危険防止に期待がかかるが、通勤ラッシュ時には柵を無視して無理に乗り込もうとする人がいるほか、電車が所定の位置に停車せず柵の位置がドアから離れて混乱が起こるという報告もあるなど、快適な乗り降りが習慣化されるまでには、まだ時間がかかるようだ。