ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | サッカーサンパウロ州選手権=絶好調のサントスが辛勝=大健闘したSアンドレー

サッカーサンパウロ州選手権=絶好調のサントスが辛勝=大健闘したSアンドレー

ニッケイ新聞 2010年5月4日付け

 サッカーサンパウロ州選手権は、20歳前後の若手が爆発的な攻撃力を誇るサントスがサントアンドレー(以下SAと略)に辛勝し、18度目のトロフィーを本拠地ビラ・ベウミーロに持ち帰った。
 決勝戦第2戦は2日、サンパウロ市パカエンブー蹴球場で行われ、3対2でSAが勝った。ただし先週の第1試合目でサントスが3対2で勝っていたので、SAが優勝するには2点差が必要だった。
 サントスのエンジンがかかっていない試合開始30秒に、サントアンドレーは1点をたたき込み、最後まで攻勢の手をゆるめなかった。終始SAが1点を先行して尻に火のついたサントスが追い上げる展開となった。
 特にSAには線審の判断で無効にされたロドリギーニョのゴールが物議を醸している。テレビ上で確認されたところでは有効といわれ、誤認なら決勝点になっていた。
 両チームとも白熱した展開になり、サントスは退場者を3人、SAも2人出し、残った選手は、広くなったスペースを懸命に駆け回った。
 今回も2点を決めたネイマール(18)の存在はさることながら、ペレの10番を継ぐガンソの活躍は特筆すべきものがあった。曲芸的なパスでネイマールやロビーニョに決定的なチャンスを演出し、20歳とは思えない落ち着きのある、視野の広いプレーはベテラン選手のようだとマスコミはこぞって賞賛した。
 特に後半の最後、SAの猛攻にさらされて、ドリバル・ジュニオル監督がネイマル、ロビーニョを防御的選手に入れ変え、ガンソにも交代の指示を出したが、手振りで「俺はここに残る」と監督の指示に反抗したシーンは、繰り返しテレビで放送された。
 ガンソは「中心選手が交代させられ、自分までいなくなったらボールの支配率が落ちる」と考えて拒否したと試合後に語ったが、事実、2人に囲まれてもガンソはしぶとくボールを持ち続けて、今年から一軍に入ったばかりとは思えないタフぶりをみせた。
 後半44分、SAは決定的な勝機をつかんでゴールに押し込もうとしたが、ぎりぎりのところでポストに当たるなど、最後まで手に汗握る展開となった。ロスタイムまで果敢な猛攻を繰り広げ、強気で知られるサントスの応援団トルシーダ・ジョーベンが最後まで「カンピオン!!」の大合唱ができなかった。
 普通、監督の交代指示を断ったら2度と使われないだろうが、ガンソの場合は逆に「チームを救った」と翌日のマスコミは書き立て、カリスマ誕生を祝い、ネイマールと共に来月のW杯に招集するよう誘導している。
 今大会までほぼ無名だったSAの大健闘を見て、セルジオ・ソアレス監督はじめ主要選手には、大チームから移籍の誘いが殺到している。