ニッケイ新聞 2010年5月4日付け
ブラジルの第1四半期貿易収支はコモディティ輸出などに支えられて黒字だったが、電気製品、薬品、化学品、自動車、機械などのミドルおよびハイテク工業製品では、昨年同期比42%増の、136億ドルの貿易赤字を記録。2006年全体での赤字127億ドルも越える数字だと2日付けエスタード紙が報じた。
今年のGDP(国内総生産)は7%と高い経済成長を見込まれているブラジルだが、レアル高のため電気製品や自動車会社など大型多国籍企業を中心とした輸入傾向が強い。例えば、ワールドカップ開催を見越してLCD(液晶ディスプレイ)テレビをいち早く国内生産し始めたフィリップス社は、昨年同期比436%の輸入増加を記録。
また、収入や融資拡大による消費者の輸入品への憧れも、同分野の赤字を招いたようだ。ヒュンダイ車を国内販売するカオア社の輸入は第1四半期で昨年同期比137%増、メルセデス・ベンツ社も同期69%輸入を増やしている。
また同紙は、ブラジルの電化製品の5台に1台はアジア製で、2009年には239億レアル相当が輸入、特に中国からの輸出が多いことを指摘。2005年の134億レアルからわずか5年で2倍に増加した。
Fiesp(サンパウロ州工業連盟)の伯中比較調査によれば、「アジアの巨人」中国では2008年の投資がGDPの40・9%を占めており、対するブラジルは19%。2008年のブラジルのハイテク製品輸出総額は、中国の3%にしか満たない111億ドルで、42カ国中27位だった。