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トゥーマ法務省長官に疑惑=中国マフィアと裏取引=恩赦発布も策略か?

ニッケイ新聞 2010年5月6日付け

 連邦警察の調べによれば、4月23日より海賊版撲滅委員会の委員長を務めていたロメウ・トゥーマ・ジュニオール法務省長官(PTB=ブラジル労働党)が、サンパウロ最大の中国系マフィアのリーダーでパウロ・リーと名乗る男性と電話やメールを介し密なやり取りを行っていたことが発覚した。5日付エスタード紙で報じられ、両氏の間で交わされた会話が一部公開された。
 今回の疑惑は、連邦警察が昨年9月より続けてきた中国系マーケットでの不法取引に関する捜査線上に浮上したもの。中国から携帯電話機器などを不当に輸入した罪で、他の13人と共に逮捕されたリー氏の身辺調査を進める中で、盗聴した通話や送受信メール記録からトゥーマ氏との関係が明らかとなった。
 リー氏の密輸した携帯電話機器はサンパウロ市北部で出回っており、1カ月の取引額は約120万レアルに上っていたと想定され、トゥーマ長官もリー氏に携帯電話やコンピュータ、ビデオゲームを発注しており、顧客関係にあったことが伺える。
 また、リー氏はトゥーマ長官との密な関係から法務省の内部事情に精通していたとされる。リー氏の押収品の中からは、リー氏がトゥーマ長官の〝特別補佐官〟と名乗っていたことを裏付ける名刺もでてきた。
 中国人に対する不法な永住ビザの作成、売買の際も、トゥーマ長官が統括する外国人課で、その偽のビザ申請手続きを行っていた事実が挙がっている。
 さらに、盗聴された二人の会話からは、昨年7月に恩赦発布された不法在伯外国人への永住ビザの発行についても、両氏が意見を交わし、策略していたことが発覚した。
 昨年5月29日、リー氏が同案件について「うまくいったか」と確認するのに対しトゥーマ長官が「今週さ」と返答しており、6月の国会での同案件可決後には、「うまくいったよ」というトゥーマ長官の報告に「やったね、最高!」と叫ぶリー氏の喜びの声が録音されている。
 一方、リー氏逮捕の知らせを受けたトゥーマ長官は、警察側に対して「同氏の違法な活動については、全く何も知らなかった」と話しているという。