ニッケイ新聞 2010年5月7日付け
サンパウロ市パウリスタ大通りの象徴ともいえるMASP(サンパウロ美術館)横に、IPHAN(国立歴史美術遺産院)の許可なく商業用ビルが建設されていたことが発覚。5日の連邦検察局の通告により建設工事は一時中断された。6日付エスタード紙が報じている。
建設途中の建物は、パウリスタ・コーポレイトビルと呼ばれ、200部屋以上が設けられる19階建ての高層ビル。ガフィザ建設会社が、IPHANへの建設許可申請を怠ったまま工事に着手していた。
MASPは、市の歴史文化環境遺産保存審議会、州の歴史文化考古学工芸遺産観光保護審議会、IPHANの3団体から文化財に指定されており、その脇に建物を健造する場合、どんな建物であってもこの3団体への申請が必要となる。
アナ・クリスチーナ・バンデイラ・リンス検事も、「この付近は歴史的、文化的景観が維持されていて、今回のような建築物は調和を損なう可能性がある。IPHANの許可なく工事を開始することは許されない」と強調している。
また、建設認可を出していたサンパウロ市からは、建造物の高さは70メートル55センチメートルまでと制限されていたが、設計図ではそれを6メートルも越える高さとなっており、規定違反の懸念も出ている。
工事再開は、IPHANの許可が降りてからのみ。その決定は、10日後に出される予定だ。