ニッケイ新聞 2010年5月8日付け
ギリシャへの欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)による巨額融資など、欧州諸国を巻き込んだ金融危機は世界各国の証券市場でも大きな波紋を呼び、サンパウロ証券市場(ボヴェスパ)も、株価指数の下落やドル急騰などの影響を受けたと7日付伯字紙が報じた。一連の動きで生じた外国からの直接投資引揚げは、5月始めの2営業日だけで5億7千万レアル、年初からの累計では18億6千万レアルに及んでいる。
国際証券市場が、08年のリーマン・ブラザーズ破綻に起因する国際金融危機を思い起こさせる様な動きを見せた6日、サンパウロ株価指数(イボヴェスパ)も一時は6%も下落し、6万814ポイントを記録。
その後少し持ち直して2・31%下げた6万3414ポイントで終えたが、投資家やファンド、銀行関係者がパニックを起こすような乱降下。これに合わせ、ドル価も一時、1・890レアル/ドルを記録。終値は、3・17%高の1・854レアルで閉じた。
ドルの動きは、欧州金融危機の影響で株価が急速に下落する事を恐れる投資家が、ブラジル市場で所有していた株を手放したりドルを買ったりして、米国株への乗換えを図ったため。
このところ買いよりも売りがこんでいるボヴェスパでは、5月に入ってからの2営業日だけで5億7千万レアル、今年は既に18億6千万レアルの出超。6日15時過ぎから見られた急激な株価下落は、15時47分には6%を超えた。
6日はニューヨーク市場でのオペレーションミスも重なり、最高値と最低値で9・26%もの乱降下記録のダウジョーンズが3・20%の下げで終わった他、アルゼンチン5・42%、上海4・11%、ナスダック3・44%、など、各国証券市場が軒並み下落。
混乱は7日のアジア市場でも続き、7日の東証指数は一時4%超の下落を記録。終値は3・1%下げ、5月初週の下げ幅は6・3%という。
今回の欧州危機は地域限定のものと見ている市場関係者もいるが、世界金融危機からもある程度距離を置いていたとされるボヴェスパですら、今回の混乱では、2月初旬からの株価回復の成果をほぼ覆された。
4月に開かれた通貨政策委員会(Copom)では、国内のインフレ高進への懸念と共に、先進国の経済の回復が遅れてデフレが起きる可能性がある事も指摘。欧州危機が政策金利(Selic)の引上げ幅を左右する可能性もある様だ。