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モトボーイ自宅前で死亡=軍警が殴る蹴るの暴行=目撃する母親なす術なく

ニッケイ新聞 2010年5月11日付け

 「警察官の手を押さええようと踏ん張った。暴行が止むよう神に祈るしかなかった―」。8日未明、サンパウロ市南部シダーデ・アデマールの自宅前で、ナンバープレートを取り付けずに走行したことで軍警の取り締まりを受けたモトボーイのアレシャンドレ・メネゼス・ドス・サントスさん(25)が警察官に暴行を受けて死亡、警官4人が殺害容疑で逮捕された。事件現場を目撃したサントスさんの母親は、冒頭のように涙を落とす。10日付伯字紙が報じた。
 パトロール中の軍警がナンバープレートの無いバイクを不審に思い、ピザ配達の仕事を終えて帰宅しようとしていたサントスさんに停止を命じたのは、明け方の3時過ぎ。逃走を図ったサントスさんは、グイオマール・ブランコ・ダ・シルバ街の自宅前で取り押さえられた。
 しかし、サイレンの音で目を覚ました母マリア・アパレシーダ・デ・オリベイラ・メネーゼスさんが、息子の泣き叫ぶ声を聞き付けて外へ飛び出すと、息子は警官4人に取り囲まれ、殴る蹴るの暴行を受けていた。
 マリアさんが暴行を止めるよう叫んでも、警官らは「黙らなければ逮捕する」と言ってマリアさんを脅し、首を締めるなど約30分に亘り暴行を加え続けた。
 サントスさんがその場に倒れこみ動かなくなると、ようやく警官もその手を止めた。「まだ大丈夫かと思ったけど、息子の首はぐったりしていて地面に大量の血が溜まっていた」
 サントスさんが動かなくなったのを確認した警官らは、サントスさんをパトカーに乗せて病院へ運んだが、マリアさんが病院へ駆けつけた時にはサントスさんはすでに死亡していた。死亡の直接原因は、頭部損傷と絞首による窒息死だった。
 警官らは、同日すぐに殺害容疑で連行された。マリアさんは、「問題のバイクは息子が苦労して購入したもので、11日にナンバープレートを取り付けるはずだった。違法行為はあっても、殺される理由などなかった」と、メディアに対し悲痛の声を洩らしている。サントスさんには、まだ3歳の息子がいた。
 4月にもサンパウロ市北部のカーザ・ヴェルデでモトボーイのエドゥアルド・ルイス・ピニェイロ・ドス・サントスさん(30)が軍警に暴行を受け死亡し、暴行を加えた12人の警官が逮捕される事件が起きるなど、軍警の不祥事が続いている。