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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年5月11日付け

 世界で一番読まれている新聞は、読売新聞であり発行部数は1000万部を超える。旧ソ連の共産党機関紙・プラウダを抜いたのが1977年だが、今や新聞の経営は厳しい。これは日本だけではなく米英や先進諸国に共通する難問であり、これを如何に乗り切るかが大きな課題になっている。日本の3大紙の一つも赤字になったし、経営陣の悩みは尽きない▼アメリカの新聞界も読者の減少が続く。あの名門NYタイムズですら9%減でありロ・タイムズは15%も減少している。この傾向は他の新聞も同じだし、もはや活字文化の崩壊と見てもいいのかも知れない。ニュース雑誌としてタイム誌と並び影響力の強いニューズウィーク誌売却の話もあるし、活字を取り囲む客観情勢は真っ暗なのである▼言うまでもないが、パソコンなどコンピューターの普及が目覚しく、インターネットによるニュース取得が簡単になったので活字新聞の放棄に繋がったと見ていい。これはもうテレビとラジオと異なり多くのニュースを読めるし、記録性にも優れている。新聞や雑誌と違い配達の時間的なロスはないし、迅速性にも富む▼こうした情況を踏まえ日米欧では、電子新聞も発行されている。読売や朝日、日経、産経新聞も新聞代と同じ程度の購読料でボタンを押せば画面に紙面が踊り出るという仕掛けだが、恐らく将来的には―この方式による生き残りしかあるまい。我等が邦字紙の苦境は1世が少なくなり読者が急減しているのであり、情報戦争での敗北ではないが、「ニッケイ新聞」もコロニア版の電子新聞が一つの道と捉えたい。(遯)