ニッケイ新聞 2010年5月12日付け
ギリシャやポルトガル、スペインなど5カ国(通称、PigsまたはPiigs)の抱える借財に起因する欧州経済危機は、10日の大型融資投入発表で一息つき、各国証券市場の株価指数は一律に上昇した。11日付伯字紙によれば、国際通貨基金(IMF)を通し2億8600万ドルの融資を行うと7日発表のブラジルも、10日に4・41%の株価上昇を記録したが、11日付サイトによれば、11日のサンパウロ証券市場(ボヴェスパ)は、欧州連合(EU)のユーロ救済策への不安や中国の経済成長率が減速の兆しを見せ始めたとの情報に、微妙な反応を示している様だ。
8日付伯字紙によると、企業家との昼食会席上でマンテガ財務相がコメントした融資額は2億8600万ドル。6日現在2450億ドルに達している外貨準備高を切り崩しての融資だ。
同相によれば、ブラジルにとっての欧州経済危機の影響は、欧州への輸出の短期的減少などの形で表れる事になるが、同危機はG7レベルで解決されるべきで、6月初旬に予定されているG20の会合までには何らかの解決を見ている筈だという。
ブラジルからの融資は、IMFが提供する2500億ユーロの融資に組み込まれるが、その他、EU内ユーロ使用国が4400億ユーロ、ユーロ非使用国が600億ユーロ、計7500億ユーロの融資が組まれたという。
この巨額融資投入の発表は各国の市場の緊張感を解き、渦中のスペインでは即座に14・44%の株価上昇を記録。その他のEU諸国でも、フランス9・65%など、軒並み上昇を記録した。
発表が好感を持って受け入れられた事は、米国ナスダック4・81%、ボヴェスパ4・41%上昇といった数字にも表れたが、問題は借金国救済のために更に大型の融資を投じる事。短期的には一息ついても、中長期的にはユーロやEUの安定性などに大きな不安を招く事にもつながる。
これらの動きを受け、ボヴェスパの株価指数は11日12時現在、前日終値の6万5452ポイントから0・45%下げた6万5155ポイントに。一時は1・32%下げて6万4586ポイントになったが、その時のダウジョーンズも0・39%下げていたという。
この下げ傾向には、ブラジルとの交易1位の中国で経済成長にかげりが出始めたとアナリストが発表した事も影響し、鉄鉱などのコモディティ関連各社の株価が低下。
一方、ブロードバンド拡張計画(PNBL)参画を目指すスペイン系のテレフォニカが、ポルトガル・テレコン株の半数取得に向けた大型投資を発表した事で、VivoやTimの株価上昇などの動きも出ている様だ。