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政府が辞任に追い込むか=批判高まるトゥーマ長官=倫理委員会も動き出す

ニッケイ新聞 2010年5月12日付け

 【既報関連】中国系マフィアとの繋がりが公になり、不正行為の容疑が高まっているロメウ・トゥーマ・ジュニオール法務省長官(PTB)に対し、公的倫理委員会が同長官を対象とする本格的な捜査を開始することを決定した。現職維持が検討されていたが、同氏への疑惑懸念の声は静まることなく、政府関係者からは辞任を薦める意見も高まっている。11日付伯字紙が報じた。
 今月始め、トゥーマ長官と密輸貿易の容疑で昨年逮捕された中国系マフィアの代表との密接なやり取りがメディアで流出。海賊版撲滅委員会の委員長も務めていた同長官に、大きな不信が沸き起こった。
 マフィアの犯罪捜査上から、同長官もマフィアの密輸や偽装ビザ作成に加担していた可能性があるとみられたが、具体的証拠は挙がらず、ルーラ大統領は現職維持の方針を示していた。
 しかし、7、8日に新たな疑惑が浮上。6日付本紙既報のマフィアの密輸容認疑惑に加え、法で定められた限度額を越す16万米ドルを国外に持ち出そうとして、09年6月にグアルーリョス空港で捕まったアイファ・マディ州議家族の摘発を避けようと擁護している会話が、連邦警察の盗聴記録から明らかになったことを8日付エスタード紙などが報じた件だ。
 こういった状況を受けて大統領府が立ち上げた公的倫理委員会は、同長官を対象に新たな捜査を開始することを決定した。委員会は、トゥーマ長官に5日間の釈明猶予期間を与えると共に、連邦警察と犯罪法廷に捜査の継続と審議を要請。委員会には解雇宣告を含む懲罰決定権があり、長官辞任に圧力がかかる。
 一方、ルーラ大統領の意向を受け、法務省のルイス・パウロ・バレット大臣もトゥーマ長官と休職の話し合いを進めているようだが、長官は依然として「私はいつだって犯罪を取り締まる側にいた」と潔白を主張。辞任を請うことは罪を認めることになるとし、断固として辞職を拒む姿勢をみせている。
 10日にはバレット大臣、ルイス・フェルナンド・コレイア連警総務局長、ジルベルト・カルバーリョ大統領府長官の間で同件について懇談が行われた。ルーラ大統領も、長官の処分を3人に委任したという。