ニッケイ新聞 2010年5月12日付け
ブラジル初の平和資料館の落成式が14日午後4時から、サンタカタリーナ州のラーモス移住地で行われる。これは移住地の草分けで被爆者の小川和己さん(80、長崎市)が建設を進めている「平和の鐘公園」の第二期工事としてできるもので、当日は斎藤準一空軍総司令官らの来賓も予定されている。
小川さんが代表を務める現地の長崎原爆被爆者らでつくる「被爆者と子孫の会」と、フレイ・ロジェリオ市の共催。
長崎県からも展示用の写真パネル80点などを送っており、館内に展示される予定。学習室なども作られる。
1階建てで420平米あり、総工費は約50万レアル。うち30万レアルは連邦貯蓄銀行からの支援で、そのほか同市からの協力もあった。
敷地全体では5ヘクタール、高台に鶴をかたどった巨大なモニュメントのある公園部分(1へクタール)は2002年に第一期工事を終えて公開されていた。
小川さんは「原爆のない平和な世界を訴えたい。ブラジルの子供たちに平和の貴さを教えたい」と訴える。サンタカタリーナ州内の公立小中学校はもとより、パラナ州、南大河州などからも、小川さんの体験談を聞きに来ている。「米国のロータリークラブが08年、09年と来ているし、アルゼンチン、パラグアイからも来るようになった」という。
森田さんは「これから日本側とも話し合って、意義ある展示を増やし、内容を充実させていきたい」と意気込んでいる。