サンタカタリーナ州、ラーモス移住地にある「平和の鐘公園」内に、ブラジル初の平和資料館が完成し、14日に落成式が挙行された。斉藤準一空軍最高司令官、イデリ・サウブァッチ上院議員、エスピリジォン・アミン元同州知事、佐藤宗一クリチバ総領事ら、約300人が出席。多くのメディア関係者も訪れた。同館設立に尽力した被爆者の小川和己さん(81、長崎市)は、「この核兵器のない平和な国、ブラジルから、核の完全廃絶を呼びかけられたら」と宣言した。
小川さんが建設を進める「平和の鐘公園」の第二期工事としてできた。長崎県からの写真パネル80点を展示。近隣にある公立学校の平和学習の場としても活用される。
420平米の1階建て。総工費は約50万レアルのうち30万レアルは連邦貯蓄銀行の支援を受けた。
小川さんが代表を務める現地の長崎原爆被爆者らでつくる「被爆者と子孫の会」と、フレイ・ロジェリオ市の共催で行われた式に先立ち、公園内の「平和の鐘」が打ち鳴らされた。
「世界にもっと、ここのような平和の町が出来て欲しい」とアミン元知事が平和を願った。
ルーラ大統領の祝辞代読、連邦政府に同資料館建設を働きかけたサウブァッチ上院議員のあいさつの後、フレイホジェリオ市、名誉市民賞が小川さんに贈られた。
小川さんは、「百聞は一見にしかず。世界の恒久平和の声をブラジルから発信したい」と話し、大きな拍手が会場から送られた。
その後、テープカットが行われ、資料館が公開された。訪問者らは、写真パネルの展示、小川さんのインタビュー映像などに見入っていた。
サンパウロ州ソロカバから参加した和田一男さん(85、二世)は「ブラジルに生れ、新聞などでしか原爆を知らなかった。実際に被爆者の写真を見たのは始めて。原爆、戦争のない世界になって欲しい」と感想を述べた。
その後、同文協会館で祝賀会が行われ、ラーモス自慢の剣道、太鼓のデモンストレーションがあった。
小川さんはニッケイ新聞の取材に「平和こそ人が求めている事。これからも皆と活動を続けていきたい」と思いを新たにしていた。