ニッケイ新聞 2010年5月19日付け
ブラジル日本商工会議所(中山立夫会頭)は、3月12日にサンパウロ市内のホテルで定例昼食会を開催、102人が出席した。ブラデスコ銀行マクロ経済調査担当のオクタヴィオ・デ・バーロス取締役が、「世界を取り巻く環境とラテンアメリカ、ブラジルが牽引」と題し、同銀行の国内外マクロ経済研究のデータを用いて、世界経済、地域経済の今後の展望について講演した。
同氏は、先進国の国内総生産(GDP)は低成長で今後4年間の平均GDP伸び率は1・5%に留まる一方、発展途上国は5・9%と推測。世界経済の中心が欧米からダイナミックな発展途上国へ移行し、2020年にはG7の世界に占めるGDPは32%に下降、エマージング7カ国が現在の28~39%に上昇すると説明した。
また、今年のブラジルのGDP成長率は6・0%で、ペルーの5・5%、メキシコ4・2%、アルゼンチン3・7%、チリ3・6%、コロンビア3・2%をそれぞれ上回ると予想。
ブラジルの外貨準備高が、2408億ドルとラテンアメリカのそれを半分以上占めるまでに高まり、ラ米で2位の準備高を用意するメキシコの914億ドルも大幅に上回っていると注目し、「ブラジルはラ米諸国を牽引できる」と強調した。
ラ米全体の貿易に関して、対中国貿易が拡大し対米貿易の比重が減少の一途を辿っている点に言及し、「ブラジルの対中国貿易も大豆、鉄鉱石、原油、パルプなどを中心に大きく伸びる。2カ国関係は確実に強化されていく」と判断した。
同氏は「ブラジルの経済人口は2050年まで成長する」と期待を込め、「今後サッカーW杯、オリンピックの主催国として世界から大きな役割を担う。その発展は、確実に正しい方向へ向かっている」と締めくくった。
ブラジル三菱重工の代表者交代では前社長の大隅広視氏が、「3年間お世話になりました」とあいさつ。新たに社長に就任した西岡信之氏は初来伯で、「将来の明るいブラジル赴任にプレッシャーもあるが、皆さんと共にがんばりたい」と意気込みを語った。