ニッケイ新聞 2010年5月20日付け
ルーラ大統領がイランを訪れ、トルコと共にウラン濃縮問題合意書に調印直後の18日、米国が国連安全保障理事会に対イラン追加制裁決議案を提出し、ブラジルやトルコが反発を強めていると19日付伯字紙が報じた。
米国上院公聴会でのヒラリー国務長官の発言によると、中国やロシアも制裁決議案提出に賛同。一部非常任理事国の賛同も得ているという。
一方、18日の安保理での緊急非公式協議後、ブラジル国連大使のマリア・ヴィオッチ氏は、「まだ交渉の余地はあるが、テヘランで調印された合意書が実効性のあるものである事を証明する機会が必要だ」という。
アモリン外相は、イランは国際原子力機関への1週間以内の情報公開や同機関査察官の立会いも認めたと説明。米国のやり方は、非常任理事国でもあるブラジルやトルコの努力を水泡に帰すものと批判した。
制裁発動なら、国連で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議にも参加しているイランが、NPT採択を拒否するなどの悪影響が出る可能性も出てきそうだ。