ニッケイ新聞 2010年5月21日付け
大阪府に所在する泉佐野市公園緑化委員会(山瀬治理事長)が主催した「第6回タオルで描く絵手紙コンクール」で、ブラジルから応募した大塚弥生さん(65、山口県)、山本郁子さん(69、熊本県)の作品に関して3月25日にFAXで審査結果を通知され、見事入賞を果たしていたことが分かった。2人が通う絵手紙教室の講師石井惠子さん(66、栃木)らが先日来社し、その喜びを語った。
「タオルのまち」として知られる同市をPRするために実施され、コンクールではタオルを筆として使用するのが条件で、大胆で迫力と温かみのある作品が集まる。
絵手紙を日記代わりに毎日書いている大塚さんは、08年原因不明の菌に侵され左足を切断。義足でのリハビリに苦しむなか、「絵手紙から感じる温かさから生きる力をもらった」という。「大阪や、サンパウロの友達から沢山の絵手紙が病院に送られ、元気にならなくちゃと思わしてくれた」と絵手紙の持つ力を強く感じたという。
今回はインジオの儀式をテーマにした作品で佳作に。「自然に逆らわない、インジオの人間らしい生活を知ったとき感激した。今度はもっと大きい紙に書きたい」とまだ書き足りない様子だ。
初応募で奨励賞を受賞した山本さんは、「ビックリした。ただ素直に思ったことを書いただけ」と謙遜するが、タオルの筆の毛を不規則に引き抜き、ヤシの葉を表現するなどの強いこだわりが作品に反映されている。当国産のタオルの方が目が粗く面白い雰囲気がでるそうだ。
2人が通う「サンパウロ絵手紙友の会」で、「下手でいい、下手がいい、感じた事を素直に書けばいい」という絵手紙の創始者小池邦夫さんの思いを大切にして指導しているのが石井さん。絵手紙を通じ「観察力、感性が豊かになり、人生観が変る」と強調する。
絵手紙は今年、誕生50周年、手紙協会創立15周年。交流の深い大阪の絵手紙会と協力して、石川県人会文化祭で作品の出展を行う。「日本との交流を含め、絵手紙の喜びを伝えるような歩みを続けていきたい」と石井さんは語った。