ニッケイ新聞 2010年5月22日付け
21日付フォーリャ紙に、ブラジルの公務員給与が国民総生産(GDP)に占める割合は12%に達し、米国や日本といった経済大国のそれを上回るとの見出しが躍った。17日付エスタード紙には、ルーラ政権下で月給が576%上がった国家公務員もいると書かれていたが、それでもなお公務員ストなどが行われている。
フォーリャ紙によると、ブラジルの公務員給与がGDPに占める割合は、経済開発協力機構(OECD)参加の27カ国中16位。米国の10%や日本の6%のみならず、OECD平均の11%も上回るという。
日本の場合は、公務員の人口比が4%、労働人口比でも8%程度、米国の場合も人口比8%、労働人口比16%程度である事を見れば、人口比で5%、労働人口比でも11%程度のブラジル公務員給与がGDPの12%という数字は、かなり大きいといえよう。
国家公務員に限れば、カルドーゾ政権下で減少した数がルーラ政権下で再び増え、08年には186万3124万人と報告されている。03~08年で7万8千人増えた計算だが、09年の国家公務員給総額は、03年の750億レアルから151億6520万レアルと倍増している。
かつては薄給で、その効率の悪さも嘆かれていた公務員だが、03~10年の累積インフレ率が51・8%とされる中、最低インフレ率以上、最高576%(国立教育研究院管理職給が1959レアルから1万3249レアルに)、平均でも255%の調整は、一般庶民が羨む程だ。
国内一般の調整率をはるかに上回る国家公務員への給与調整は、一般の労働者との給与格差をなくして動機付ける事で生産性や実務効率を上げるためといわれるが、解雇のない公務員には競争心を駆り立てる理由にはならず、企画省職員さえ効率性は余り向上していないと評価している。
政府が支出削減などを図る時にも、最も抵抗が大きいものの一つが人件費。企画省から国家公務員給与の調整が高率で行われてきたと報告を受けたルーラ大統領は、政権最後の年の調整はないと宣言したが、公務員達が新たな調整を求めるストは既に展開中だ。
公務員は〃公僕〃ではあっても、文字通りの僕(しもべ)ではない事が明らかになるような一連の報道だが、21日付エスタード紙には、国庫から社会経済開発銀行(BNDES)への貸付で、4月の国内負債は過去10年で最高の6・61%増額とある。収入と支出のバランスが崩れた状態を本気で改善しなければ、次期政権は大きな赤字を抱えた出発となる。