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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年5月27日付け

 先週末にボン・レチーロ区であった『第5回韓国文化フェスティバル』に足を運んだ。今年「韓国人街」というサンパウロ市唯一の民族名がつく地区に制定されたこともあり、総領事館もテコ入れ、例年より大規模だった。ハングルによる書の展示や韓国舞踊を楽しんだら、ずらりと並んだ屋台が次の目当てだ▼岩塩と唐辛子で食べる血入りソーセージ(スンデ)とコプチャン(小腸)の串焼き、イカの天ぷら、トッポッキ(唐辛子で煮込んだ餅)などを買い込み一安心。ビールを探す目の端に素焼きの壷が引っ掛かった。朝鮮どぶろく「マッコリ」だ▼山口・下関から、韓国・釜山間を繋ぐ「関釜フェリー」。飛行機でわずか1時間だが、やはりここは波に身を任せ、旅情を掻き立てたい。港近くで買い込んだ豚足やスルメ、正体不明の缶詰を甲板で広げて飲むマッコリが復路の楽しみだった。玄海灘のときおり激しい揺れで増す心地良さを思い出し思わず、オルマエヨ?(いくらですか)▼白磁の容器で3レアル。口当たりの良さに杯を重ねるうち、柄杓を持ったアジュンマ(おばさん)が嬉しそうに自家製マッコリの広告をくれた。数年前は限られたところでしか楽しめず「おじさんの飲み物」として敬遠されていたそうだが、韓国のブームが飛び火する形で若い世代に大人気だとか▼我が国に目を転じれば、定着した芋焼酎に続き、ハイボールが若者に大流行。トリハイも楽しまれているようだ。トリスを飲んでハワイに行きたかったが、ブラジルに来てしまったおじさんを誘い、冷えたマッコリの甘い酸味をもう一度楽しみたいものだ。(剛)