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イラン=態度を硬化し最後通牒=伯土イ3国合意の行方は

ニッケイ新聞 2010年5月28日付け

 ルーラ大統領がイランを訪問し、トルコと共に、ウラン濃縮問題に関する合意書に調印したのは17日の事だが、アハマディネジャド・イラン大統領が26日、「米国がこの3国合意を受け入れないなら、これ以上の対話の機会はない」と発言したと27日付伯字紙が報じた。
 3国合意調印直後に、イランが国内での20%までのウラン濃縮を継続すると発言した事で米国などの国際社会の懸念が再燃し、追加の制裁決議案まで提出された訳だが、国際原子力機関に提出した実情報告などにも疑問を呈し、制裁決議案を取下げようとはしない米国を牽制する内容ともとれる発言は、イラン側の態度硬化の表れだ。
 一方、同国訪問前の4月末にオバマ米大統領からルーラ大統領に送られた文書には、合意に盛り込むべき事などの細かい指示もあった事は27日付伯字紙なども報道。
 ルーラ大統領は自分は米大統領の指示に従ったとし、「ブラジルが合意取付けに成功したのは、高飛車に出ず、身を低くして、相手の信頼を勝ち取る事を心がけたから」と26日に弁明した事も報じられた。一方、米国としてはイランが直ちにウラン濃縮を停止する事などを制裁見送りの条件としていた事も明らかにする内容で、合意書に自国内の濃縮活動を制限する項目を盛り込まず、抜け道を残した部分の不備は否めない。
 米国による制裁決議案提出後、制裁決議が採択されたなら、ブラジルやトルコとの合意は破棄すると発言していたイランは、従来は良好な関係を保っていたロシアも批判。ロシア側は、自分達はイラン寄りでも米国寄りでもなく、同国の批判は的外れと反論している。