ニッケイ新聞 2010年5月29日付け
生放送のラジオ番組中、誰もが予想しない悲劇が発生した―。26日午前、バイーア州カマサリ市のラジオ・リーデルの番組「De olho na cidade」で電話でのインタビューに応えていたクライトン・レオン・シャベス警察署署長(33)が銃撃されて死亡するという事件が発生。生放送の番組の途中、ラジオからは恐怖の銃声、悲鳴が響き渡った。27、28日付伯字紙が報じた。
当初は同番組にスタジオでの出演を予定していたクライトン署長だが、予定の時間に遅れたことから、インタビューは急遽、電話でのやり取りに変更された。
車に乗っていたクライトン署長は、カマサリ市とサルバドール市の間にあるカスカリェイラ街道の交差点に車を止め、番組司会者のインタビューに対し、同市の治安改善について説明していた。助手席には妻シモーネ・デ・オリベイラさんが同乗していた。
その最中、突然、強盗団が2人に迫ったとされ、ラジオのスピーカーから最初の銃声音が聞こえ、続いてクライトン署長の「待って、待ってくれ!」という叫び声が響いた。
強盗団は最終的に3発の銃弾を放ち、そのうち2発が命中したクライトン署長は即死。ラジオには、その場にいたシモーネさんの悲鳴と周囲に助けを求める悲痛な声がこだました。
同市第18部署の署長であるクライトン氏は、4年間に渡り特殊部隊のコーディネーターを務め、麻薬の密売根絶に尽力していた。番組のインタビューでは、同市の警備体制は段々と良くなっていると説明し、そのため同氏自身も家族と共に同地へ移り住んだと応えていた。
27日、27~30歳の3人の容疑者が逮捕された。3人はクライトン署長の車を盗もうと脅迫したところ、署長が自分の銃に手を伸ばそうとしたのに気づいたため発砲したと供述している。犯行時は、盗難車のタクシーを使用していた。署長とは、面識はなかったとされる。
27日にサルバドール市で行われた告別式には、約100人の市警、連警らが集まった。ジャケス・ワグネル・バイーア州知事も参列し、「我々は、尊い命がこれ以上失われるのを防ぐために戦っている。犯罪にも怖気づいてはいられない」と力を込めた。