ニッケイ新聞 2010年5月29日付け
人口2万7千人、国民総生産の90%を鉱工業に依存するミナス・ジェライス州のエストレマ市は、従来の金属工業のイメージを差し置いて、チョコレートの街へと変貌する。26日付フォーリャ紙が取り上げた。
原材料チョコレートの製造では世界で最大級のベルギーのバリー・カレボー社が27日、ブラジル初の工場を同市で稼動した。同市では、4月からコペンハーゲンのチョコレート工場も運営されている。
両工場にとっての同地の魅力は、サンパウロ大都市圏への交通の便の良さとチョコレートの取り扱いに最適な穏やかな天候。コペンハーゲンは年間3500トンのチョコレート製品、バリー・カリボーは菓子工場などで使用する原材料のチョコレート2万トンの生産を行い、ブラジルのみならずメルコスルへの供給につなげる。
これらの工場勤務者からは、「働き始めてからチョコレートに病みつきになり太った」という声も。映画「チャーリーとチョコレート工場」に登場するようなチョコレートの滝こそないものの、工場の食堂ではチョコレートがデザートに振舞われるほか、味覚に敏感な人には新製品の試食といった特典もあるようだ。
同市では11年前に菓子メーカー・バウドゥッコの工場が稼動を開始して以来、食料品部門での雇用が倍増。この部門での工場労働者は2670人で、人口の約10%にも相当している。
12日付エスタード紙によると、こういったチョコレート生産の原料となるカカオは、近年環境保護基準に則した生産が普及しているよう。
昨年は、環境保護団体レインフォレスト・アライアンスの認証を受けたカカオ生産が前年比で約40%伸びている。