ニッケイ新聞 2010年6月1日付け
宝くじに掛けた夢は、醜い家族抗争に―。2006年のメガセナで2千820万レアルを当てたファビオ・セザール・バーロス・レオン氏(40)の父親フランシスコ・セラフィン氏(60)が、その賞金を巡って息子の殺害を企て、殺し屋2人を雇った疑いから27日午後マット・グロッソ州クイアバー市で逮捕された。29日付伯字紙が報じた。
事件の発端は、メガセナが当たった4年前に遡る。ブラジリアまで賞金を受け取りに行った親子は、息子ファビオ氏がカイシャ・エコノミコに銀行口座を持っていなかったことから、賞金は父フランシスコ氏の口座に振り込まれた。その当初、2人の間には何の不和もみられなかった。
しかし、その約1年後から亀裂が生じ始める。父フランシスコ氏がファビオ氏の許可なく不動産を購入するなど、資金運用に両者の意見の食い違いが出てきたことから、ファビオ氏は1人で資金管理を行うことを主張し始めた。それ以後の2人は、3年間に渡り、賞金の所有権を巡る抗争を法廷で繰り広げていた。
その抗争に警察の捜査が入り始めたのは、マット・グロッソ・ド・スル州国道警察が銃器所持罪で2人の男性を取り締まった3カ月前。2人の所持品からファビオ氏とその婚約者の顔写真や住所を書いたメモが押収され、警察の取調べから2人がフランシスコ氏に依頼されてファビオ氏の殺害を図っていたことが明らかとなった。
フランシスコ氏は27日息子殺害を企てた容疑で逮捕に至り、さらに同氏の陰謀に加担したとされる弟ファビアーノ・レオン氏(32)も同日夕方に逮捕された。
渦中のフランシスコ氏はマット・グロッソ州アマゾニア銀行の元頭取で、同州工業連盟の幹部役員も務めており、地元では一目置かれている人物だったことも市民に大きなショックを与えているようだ。容疑に関しては、「息子側の策略による濡れ衣だ」と否定している。
同州の法廷によれば、2人の拘留期間は一時的なもので5日間。同氏が賞金を使って購入したとされる資産は、捜査が完了するまで凍結される。
メガセナの賞金を巡る事件は過去にも起こっており、05年の5千180万レ、07年の5千200万レ、08年の1千600万レ獲得者も何者かに殺害されている。