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カザロン・ド・シャー=来年半ばにも完成へ=モジ=州政府が約60万レ助成=第3期工事の費用に目処=苦節15年、笑顔の中谷氏

ニッケイ新聞 2010年6月1日付け

 来年半ばにも修復が終了――。モジ・ダス・クルーゼス市でカザロン・ド・シャーの修復工事に尽力している中谷哲昇氏(カザロン・ド・シャー協会会長)が5月24日に来社、プロアッキ(ProAc、サンパウロ州文化局文化活動プログラム)から約60万レアル分の助成認可が5月21日付けの官報で発表されたことを受け、「第3期工事の費用がまかなえる」と喜びの報告を行った。同協会発足は96年。まさに〃苦節15年目〃にイナウグラソンに漕ぎ着けそうだ。

 カザロン・ド・シャーはモジ市郊外のコクエラ地区に建つ。1942年、日本人大工により建設された独特の造形美を備えた日本建築物。
 製茶工場として稼動後、70年代には農業倉庫として使われていたが、中谷氏ら陶芸家が中心になり、保存活動を展開。96年にはカザロン・ド・シャー協会を発足、連邦文化省に働きかけ、04年から復元工事を行ってきた。
 82年にはサンパウロ州文化財、86年には日系の建築物としては唯一の連邦政府認可の文化財となっている。
 約50万レアルをかけた第1、2期工事を経て、昨年7月、最終段階となる第3期工事の費用を地元の製鉄会社「GERDAU」がProAcを通し、資金援助することで同社がICMS(商品流通税)を免除される申請をしていたが、一時は却下。
 各方面に働きかけを行い、今年3月に再申請。59万9893レアレが認められることが決定した。完成後に予定される教育プログラムの準備費用なども含まれているという。
 「ようやく目処がついた」とほっと胸を撫で下ろす中谷氏だが、修復後の維持費の捻出なども課題。「レストランや焼き物工房、文化的な催しを企画して、モジの観光名所として活用していきたい」と話している。
 カザロン・ド・シャーの復元保存活動に関心のある方は同協会(11・4792・2164)