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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年6月1日付け

 鳩山内閣の支持率がまた下がり19%にもなり、本来なら辞職が筋なのだが、ご本人は「続投」を宣言し、あの首相の座を離れようとしない。それもこれも、閣僚の福島瑞穂氏を罷免したことに始まり、普天間基地移設についての不手際な政策による。勿論、社民党党首の福島氏は「斬り捨て」と怒り、すぐさま連立離脱を決め、あの華々しく発足した連立はわずか8ヵ月で瓦解という情けなさである▼首相は決り文句のように「県外」「国外」と叫び、沖縄の苦しみを軽減と叫んできたが、最後は「やはり辺野古へ」と君子豹変し、沖縄の民は怒りが天に達し、鳩山首相の2回の訪問も、ちっとも役立たない。その挙句―麗々しく打ち上げた「杭打ち方式」もいとも簡単に打ち捨て埋め立て式に急転換のお粗末である。しかも、これは自民党が米国と合意した方式であり、これではいったい何のための議論だったのか▼自民党などの野党は「それ見たことか」と拍手喝采だろうが、民主党内にも危機感は高まっている。取り分け7月に選挙が迫っている参院には「退陣論」が高まっているし、長老の渡部恒三氏も「反小鳩」と、この内閣を取り囲む情況は厳しい。閣僚を罷免するのは、首相の権限だけれども、これまでに罷免されたのは4人だけ。福島氏は5人目になるが、それだけに慎重さが必要だ▼それに、自民党の支持率が民主党を上回ったし、参院選挙も「民主優勢」が怪しくなり、自民などの野党が有利になっている。もし、このまま進めば、参院での民主議席は減少するであろうし、この夏の選挙は目を離せない。(遯)