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路上生活者数は町人口並=サンパウロ市内10年で1・5倍の増加へ=麻薬常習が若者を呼ぶ

ニッケイ新聞 2010年6月2日付け

 路上生活者数は、小さな町の人口に匹敵するほどの規模―。経済調査院(FIPE)によって昨年11~12月に行われたサンパウロ市内路上生活者の生活実態調査によれば、その数は1万3666人、10年前と比べ、約1・5倍に膨れ上がったことが示された。1日付伯字紙で彼らの生活状況が明かされ、その問題点が露呈した。
 2000年度に行われた調査の路上生活者数8706人と比較すると、10年間で57%の増加で、セーやレプブリカ広場で寝泊りする路上生活者は約3千人。路上生活者が確認されなかった場所は10区のみという結果になった。
 彼らの平均年齢は、40・2歳。児童、青少年の数が減少したのに対し、18~30歳、50歳以上の層が厚くなっている。サンパウロ州内で出生記録がある人は46%、65・2%が初等教育も修了できていない。
 全体の62・1%が再生ゴミの回収作業や駐車番、清掃業などの仕事に携わっていて、収入は1日平均19・30レアル。その収入のほとんどは食費やタバコ、麻薬購入に費やされる。アンケート調査からは、物乞いを行う人は約30%という回答も出された。
 こういった路上生活者には、暴力や麻薬常習といった他の社会問題も付きまとう。66・7%がこれまでに暴行を受けた経験があり、加害者は他の路上生活者や通行人のほか、警官という回答も多くみられた。
 また、路上生活者の中には、タバコや酒のほか、クラックの常習も目立つ。クラック常習者は27・3%を占め、18~30歳に限定すればその数は53・7%。
 専門家は、クラック常習者の増加が10年前の状況から変化した特筆できる点であり、路上生活者が都市部に集中する1つの大きな要因になっていると指摘している。
 こういった路上生活者に対し、市は41カ所の避難所を設置。計8200人の収容が可能で、現在51・8%の人が施設での保護を受ける。今年中に受入れ規模を1200人に拡大する方針を打ち出している。
 その一方、フォーリャ紙では、サンタ・セシーリアで住民や商業者らが路上生活者に食料を与えることを禁止し、地域から彼らを追い払うプロジェクトを立ち上げていることも報じられた。

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