ニッケイ新聞 2010年6月3日付け
サンパウロ市ボンレチーロ区が「韓国人街」(Bairro Coreano)と制定する条例(Lei 15.110)が、市議会で正式に承認され、5月22日に行われた第5回韓国文化祭りで盛大に祝われた。民族衣装のチマチョゴリに身を包んだ婦人はもちろん、駐伯大使、在聖総領事やパラグアイ韓国協会代表なども駆けつけ、会場に集まった千数百人を前に、多民族都市サンパウロのさらなる発展に貢献することを誓った。
午後4時から行われた記念式典は同区中心部のルバビッチ街を百メートルほど閉鎖し、特設舞台を設置して行われた。韓国人協会、在聖韓国総領事館、サンパウロ市の共催。
韓伯両国の国歌を斉唱、韓ポ両語で司会された。キョンリム・チェ(Kyonglim Choi)駐伯大使が韓国語のみで挨拶し、スンテ・キム(Soon Tae Kim)在聖総領事が両語で「コムニダーデは歴史に残る瞬間を迎えた。この地区にもっと投資し、日本人街として有名なリベルダーデ区にまけない存在に育て上げよう。それがサンパウロ市発展の一助となる」と呼びかけた。
韓国人街条例を発案したトニーニョ・パイバ市議は、「韓国系社会は素晴らしい貢献をこの地区にしている。すでに韓国文化の中心地であり、今回の条例はそれを公式にするもの。47年前にサントス港に到着した最初の韓国移民以来、その文化を我々に伝えてくれている。ブラジル側としてそれに感謝し喜びたい」とのべた。
妻が韓国系のウイリアム・ウー連邦下議は、「この区は全伯を代表する韓国文化の中心地だ。サンパウロ市の文化的多様性はユダヤ系、イタリア系、アラブ系など多文化、多宗教が支えている。今回の条例によって、そのあり方がさらに豊かになった」と賞賛した。
ブラジル韓国人協会のジュイル・ソ(Ju Il Seo)会長は、「記念すべきこの日は、世代を超えて毎年、韓国文化をもって祝われるべき。市長と市議会に感謝し、その期待に応えるよう地区の清浄化、改修、治安向上に力を入れ、市内で一番良いと言われる地区を目指す」と力強く宣言した。
最後に、カサビ市長とパイバ市議に感謝状が渡され、来賓全員により市条例を刻んだ金属板の除幕が行われた。この金属板は、ルバビッチ街に設置される予定。
この式典の感想を韓国ブラジル青年会議所のピョンファン・ナ(Byung Hwun Na)副会頭(35、6歳で渡伯)に尋ねると、「とても感激した。この地区に誇りを感じる。これをコムニダーデのブラジル統合の第一歩にしたい」と語った。
同街には25軒の韓国料理などの売店が並び、舞台上では伝統舞踊やコーラス、武道なども披露された。隣の州立オズワルド・デ・アンドラーデ文化センターでは美術工芸展や書道展なども行われ、たくさんの人出で賑わった。