性転換者に新たな権利=社会名で公共でも働き易く=サンパウロ市、州で差別の緩和へ
ニッケイ新聞 2010年6月8日付け
同性愛者週間の6日、サンパウロ市パウリスタ大通りでは今年も盛大に同性愛者パレードが行われ、多くの参加者で賑わいを見せた。同じ6日付伯字紙はサンパウロ市、サンパウロ州政府も性転換者が職場で本名とは異なる「社会名」を名乗ることを許可するなど、性転換者に対し新たな権利を認め始めたことに触れ、社会の中で活躍する彼らの姿を紹介した。
公の場で働く性転換者は、外見と名前が釣り合わないことから仕事の上でも様々な不都合を強いられる。
今年1月にサンパウロ市で施行された規定では全ての職業において性転換者が本名とは違う社会名を名乗ることが認められ、サンパウロ州では3月に類似の規定が定められた。
サンパウロ市職員で最初に新たな名前入りの身分証明を獲得したのは、サンパウロ市企画局で高齢者向けプロジェクトを担当するゲンダ・タケオさん(47)。元はレジーナと呼ばれる女性だ。1983年からサンパウロ市職員として勤務していた。
「公の場で話すときなど、どこか居心地の悪い雰囲気があった」と話すタケオさんは、1月の規定施行後すぐに新たな名前を登録。日系人であることから、自身の先祖に敬意を込めて日本語の男性名「タケオ」をとったそうだ。
性転換をしながら公立学校で教師として活躍する人もいる。02年よりサンパウロ市にある州立学校で国語と英語を担当し、11~17歳300人の生徒を指導するカカーさんの本名はパウロ。生徒は皆カカーさんが元男性と気が付いているものの、化粧などのおしゃれにも気を使うカカーさんがスカート姿で教壇に立っても、それを批難する生徒はいないだろう。
「生徒は皆私のことを女性として扱ってくれます」と話すカカーさんは「性の多様性というメッセージを発信し、生徒達の偏見をなくす助けになれば」と考える。社会名取得に向け準備中で「正式に新たな名前を名乗れれば、学校の理事にも立候補できる」と期待を寄せている。
サンパウロ州が運営する性多様性促進委員会コーディネーターのジミトリ・サーレスさんは「適切な名前の使用で本人達の精神的負担を軽減させ、外からの差別を軽減できれば」と話す。
すでにブラジル銀行やウニバンコ、BNDES(社会開発銀行)内でも社会名適用を確約。サンパウロ市、サンパウロ州政府は今後、この新たな権利を公に発表していく予定だ。