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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年6月8日付け

 リオとサンパウロを結ぶ新幹線をめぐり日中韓や仏、スペインなどが覇を競っているが、何処が勝つかは入札の箱を開けて見るまで判らない。だが、この弾丸列車のエネルギーは電気であり、近頃は二酸化炭素の排出を嫌い電気自動車が飛び出し、日米では超人気。メーカは開発競争に明け暮れている。台所を見渡しても炊飯器、レンジ、冷蔵庫や電灯と電気ばかりである▼と、これは先進国の暮らし振りながら、この地球には電気がない地域も多く、ご飯を炊くのも薪や枯れ草を使う人々がたくさんいる。国連の調べによると、25億から30億人が電気供給のない地域に暮らしているか、あるいは利用できない状態に置かれているそうだ。つまり、世界総人口の半分近くの人たちが、電気のない生活を送っているのだ▼これらの人に2030年までになんとか電気を―の動きがあるが、これはとても難しい。ある試算だと、30年までに毎年350億ドル(約3兆5000億円)の投資が必要とされる。ざっと見積もっても7000億ドルの資金が要るし、この計画を今から20年間も継続できるのかの疑問も残る。こうした不遇の人はアフリカやアジアにいるし、遠隔な僻地や山奥に住むので配線の苦労や発電所の建設もある▼太陽光や風力の活用もあるだろうけれども、これらを実施するのは至難と言っていい。ドイツは、ウガンダでバイオマスに依存している人たちに特性のコンロを造らせ使ったところ、煙は出ないし燃料が従来の60%で済み好評で50万個も使っている。こうした現実的な方法の取り入れも大切なのかもしれない。(遯)