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フォルタレーザ中銀強盗=〝恋愛〟作戦で犯人に接近=4年間に渡る華麗な捜査

ニッケイ新聞 2010年6月9日付け

 2005年8月5日、セアラー州にあるフォルタレーザ中央銀行の金庫から、89メートルものトンネルを掘って1億6480万レアルの現金を盗むという前代未聞の強盗事件が発生した―。しかし、この映画のような事件には、華麗なる捜査と逮捕劇も待ち受けていた。事件から5年が経った今、逮捕に至る真相が6日付フォーリャ紙上で明かされた。
 犯行は3グループが共謀した強盗団36人によるもので、事件直後、犯人らは北東部奥地やサンパウロ州へとバラバラになって逃亡していた。
 事件から数週間後、1人の二枚目刑事ニコデーモス(仮名)が事件のあったファルタレーザ市から約216キロ離れた人口5万6千人の町ボア・ヴィアージェンへと向かう。それは、連邦警察が考え出した〝恋愛〟関係を利用した囮(おとり)作戦だった。
 強盗団の親族が暮らしているとの情報が入ったその町で、黒幕アントニオ・ジュシバン・アルヴェス・ドス・サントスの親戚にあたる1人の女性とニコデーモスとの間にロマンスが始まる。6カ月間に渡る交際の中で信頼を得たニコデーモスは、女性やその家族から徐々に事件の詳細を聞き出していった。
 犯行の証拠を掴んだ時、すでにニコデーモスは女性の前から姿を眩ましていた。女性は、今日までその恋愛関係が偽りのものだったことには気が付いていない。
 ニコデーモスの綿密な情報収集により、08年2月25日に逮捕に至ったアントニオ・ジュシバンほか、その町に隠れていた他の9人の犯人も逮まっている。
 09年6月31日にサンパウロ市で捕まった主要人物の1人モイゼス・テイシェイラ・ダ・シルバ(通称=カベーロ)の逮捕にも、同種の潜入作戦が用いられた。
 サンパウロ市ヴィラ・マリアーナ区のパン屋に毎朝朝食を取りに来るテイシェイラとされる人物の身元を割り出そうと、1人の刑事は15日間に渡りウェイターに扮装してパン屋に張り込み、その逮捕に成功している。犯人は、植毛や首の整形手術を行っていた。
 連邦警察は事件当時から4年間で36人中27人を逮捕し、2千万レアルの現金、3千万レアル相当の資財の回収に至った。その他4人は、金銭問題のトラブルに巻き込まれ、何者かに殺害されている。