ニッケイ新聞 2010年6月10日付け
【既報関連】サンパウロ市交通局とサービス局の局長を兼任していたアレシャンドレ・デ・モラエス氏の辞任が公表された8日、同氏の下で働いてきた約30人の公務員が一斉に辞表を提出した。8日付エスタード紙が報じた。
CET(交通技術公社)やSPTrans(サンパウロ市交通機関公社)などの主要機関も統括していたモラエス氏は、連邦警察からの退職者をそういった機関の幹部に引っ張っていたとされる。今回の辞表提出者の内、20人は天下りのCET幹部らで、関係者からは「CETの権威体制は終わった」という声が聞こえる。
そのほかには、SPTransのルイ・セザール・メロ理事やマジノ・アルヴェス・バーバラ・フィーリョ交通局長補佐、セザール・メッシ・マラレス・サービス局長補佐などが含まれた。
現時点では、この30人が自らの意思で辞表提出に至ったのか、モラエス氏の意向を伴った免職なのかは明らかにはされていない。
モラエス氏は第1期カサビ政権終了時にも辞任を求めたことがある。今回の辞任についてカサビ市長は「辞任に追い込んだわけではない。職務を維持してもらいたかったが、同氏の意思は固かった」とし、「今度も両局では現在のプロジェクトを続行し、人員の入れ替えを行う予定はない」とコメントしている。
交通局長とサービス局長を兼任し、市政最大の予算を扱っていたモラエス氏だが、その政策には多くの論争点もあった。
サービス局長としてゴミ収集業と公共清掃費の20%削減を行ったことに対しては、公共衛生の不備が問われた。ゴミの回収不足によって洪水発生が助長されたほか、毎年100万トンのゴミが排出されるサンパウロ市でのリサイクル可能ゴミの選別が追いつかず、ゴミ処理負担額の増加や環境問題に懸念が挙がった。
交通局の業務では、ゾナ・アズル使用の駐車スペース3144カ所を削減したまま、代替する駐車場確保に至っていないほか、5本設置すると宣言していたバス専用レーンも1本のみの設置で滞っている状態だ。
さらに、7月から検討しているヴィンチ・エ・トレス・デ・マイオ街のバイク走行禁止にも反対の声が高まっているなど、同氏の政策への評価は厳しいようだ。