ニッケイ新聞 2010年6月10日付け
国連安全保障理事会は9日、イランに対する新たな制裁決議案を、賛成12、反対2、棄権1の絶対多数で採択したと同日付G1サイトなどが報じた。
常任理事国の中国が拒否権を行使してくれればとかすかな望みをかけていたブラジルの期待は裏切られ、常任理事国すべてが決議案に賛成。反対は、ブラジルとトルコのみで、動向が注目されていたレバノンは棄権した。
9日付伯字紙によると、アモリン外相は8日も中国やロシアの外相、トルコ外交筋などと電話連絡をとり、制裁回避を図ろうとしたというが、イランに対する国際社会の不信感払拭には至らなかった。
アモリン外相の要請を受けたマリア・ルイザ・R・ヴィオッチブラジル大使も、制裁は効果的な手段ではないと最後まで反対を唱えていたが、4回目となる制裁を阻止する事は出来なかった。
イランのウラン濃縮問題は、ルーラ大統領がイラン訪問中の5月17日に、イラン、トルコ両大統領と共に合意文書調印をはたしたものの、その直後にイランがウラン濃縮継続を発表した事で暗礁に乗り上げた。
イランのアハマディネジャド大統領は、制裁案が提出された時点で、3国が調印した合意書を認めないなら他に交渉の余地はないとしていたが、制裁決議採択後も制裁決議は何の意味もないとして、ウラン濃縮を継続する意向を再度表明した。
制裁決議採択前、米国からブラジルに対し、制裁決議採択後もイランとの仲介役を果たして欲しいとの要請があったが、ブラジル側は決議後の仲介の可能性はないとして、米国の申し出を断っている。