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クリチーバで全伯王将戦=優勝は浜公志郎六段=プロ棋士2人も来伯指導

ニッケイ新聞 2010年6月11日付け

 第38回全伯王将戦が5月30日、クリチーバ日伯文化援護協会会館で開催された。サンパウロ州各地、地元クリチーバ、ロンドリーナ、マット・グロッソ州、ミナス州、パラー州ベレンなど、全伯各地から約80人が出場。10時間にわたり各組で熱戦が繰り広げられ、浜公志郎六段が王将戦を制した。

 今年は、日本将棋連盟南米指導派遣プロ棋士大島英二七段(52)、山本真也五段(38)が将棋指導・普及活動をペルー、ブラジル両国で行い、その一環として同大会にも参加し、指導を行った。大島七段は同大会の審判長も務めた。
 一分間の黙とうの後、大会総裁の山脇ジョルジ同文協会長に続き、川合昭ブラジル将棋連盟会長は「奥深く、優雅さを兼ね備える将棋の魅力、日本の文化を伝えていきたい。今回、ここクリチーバでプロ棋士を迎え、全国規模の大会を開催できることを、熱く熱く感謝いたします」とあいさつした。
 その他、木谷請海同大会実行委員長(同連盟副委員長)、佐藤宗一クリチーバ総領事、大島七段、山本五段がそれぞれあいさつし、日本文化の将棋普及の意義や、大会開催の喜びを語った。
 優勝旗が前年度優勝者の安部和夫五段から、川合会長に返還され、木谷連盟副会長が対局開始の宣言を行った。
 大会は、パチパチと駒を指す音が会場に響く中、王将戦、四段戦、三段戦、初段、段外の各組で総当たりの予選を実施。順当に実力者が予選を勝ち抜き、トーナメント方式で各組の優勝を競った。
 王将戦はミナス州ベロ・オリゾンテから出場した浜公志郎六段(22歳、2世)が初優勝を飾り、山本五段から笑顔で優勝旗、トロフィーを受け取った。
 表彰式では、80歳以上の高齢者23人に記念品が贈られた。最高齢者は91歳の国府増二さん。
 唯一の女性出場者梶田きよさん(88、京都)は段外戦に出場した。「試合は全敗だけど、将棋は楽しい」。将棋、短歌、新聞が毎日の楽しみ、悪かった体調が大会に出てよくなったという。
 閉会式で大島七段は、「同好の士が緊張感を持ち、集うこの大会の存在が素晴らしい。技術の部分も知っていけばもっと将棋が楽しくなる」と称賛の言葉を送り、山本五段は「地球の裏側でこんなにも熱心に将棋が打たれていることを嬉しく思う。これからも王将戦が続いて欲しい。将棋が強くなるためには少し自分より強い人と対局しましょう。負けてこそ強くなります」とアドバイスを送った。
 各部門の優勝者は次の通り=【王将戦(五、六段)】浜公志郎、【四段】高野勇治、【三段】稲村正樹、【二段】窪泰廣、【初段】増岡泰巳、【段外】梶田きよ、【親睦戦A組】高根富士夫、【親睦戦B組】河添博延、(敬称略)