ニッケイ新聞 2010年6月12日付け
国内の携帯電話需要は驚くべき増加を示しており、今年上半期には昨年同期と比較して30%の販売拡大が予想されている。業界側は輸出台数を抑え、国内への供給を優先する姿勢を示している。11日付エスタード紙が報じた。
サムスンのシルビオ・スタグニ副社長は「市場の成長の速さは、自動車ならば時速200キロで走っているようなもの」と驚く。ブラジルで出回り始めた当初の1991年には一機5千ドルしていた携帯電話も、現在は何百万人もの人が使用。電話番号の桁数はその普及と共に追加されている。
今年第1四半期に記録した携帯電話機の販売率の伸びからは、上半期は昨年比30%の伸びが見込まれる。ブラジル電気電子機器協会(Abinee)によれば、国内市場向けの携帯電話機は、昨年比9%増の5千万台が生産される予定だ。
モデルとしては、一つの機械で電話会社を使い分けられるチップ(シッピ)の入れ替え可能なものや、デジタルテレビの受信機能が付いている機械の人気が高い。
ノキア・マーケティング部担当のガブリエラ・ポルトガルさんは「スマートフォン」(通常の音声通話など通信機能だけでなくスケジュール、個人情報管理など多種多様な機能を備える携帯電話)の需要を示し、「第1四半期に昨年同期比で170%売上げが伸びた」と話している。
購買層に関しては、スタグニ副社長が「6カ月に一度新しい携帯電話に買い替える高所得層の若者が多い」と注目する一方、LG営業部門担当のマルクス・マッシャードさんは「C、Dクラスの需要拡大に応え、安価なモデルでのデザインの多様化が必要になる」と見解する。
携帯電話普及に伴い、ブロードバンドへの接続が可能な3G型の需要も拡大しており、Vivoでは同種サービス地域を1日に約4都市の割合で増やし、2011年までに現在の600都市から2832都市へと拡大する計画を発表した。
業界側はこういった国内需要の伸びを見越して、輸出台数は34%の落ち込みを見せた昨年と同じ1千600万台にとどめる。対照的に、輸入台数は昨年比50%増となる600万台に届く見込みだ。