トゥーマ長官ついに罷免=疑い否定しながら退陣へ=「政界の卑怯な手口だ」
ニッケイ新聞 2010年6月16日付け
先月、中国系マフィアとの密接な関係から密輸貿易や違法な滞在許可証発行への加担疑惑が浮上し、ほとぼりが冷めるまでと5月11日から1カ月間休職していた法務省長官のロメオ・トゥーマ・ジュニオール氏が14日、ルイス・パウロ・バレット法務省大臣により罷免された。15日付伯字紙が報じた。
海賊版撲滅委員会の委員長も務めていたトゥーマ氏だったが、5月5日付伯字紙などで報じられたように、昨年9月に捕まった中国系マフィアのリーダー、通称パウロ・リーと家族ぐるみの親密な関係にあることが判明。両者の間で交わされた通話記録からはマフィアの違法行為に手を貸していた可能性があるとみられている。
トゥーマ氏が純粋な友人関係だったと容疑を否定している一方で、大統領府の倫理委員会の要請を受けた連邦警察が法務省内で本格的な捜査に乗り出していた。トゥーマ長官は、パレット大臣の忠告を受け、先月11日より休職中だった。
11日ルーラ大統領と同件に関して面談したバレット大臣は、トゥーマ長官の休職期間明けの14日、正式に同氏の罷免を公表した。同大臣は、3件の捜査対象となっているトゥーマ氏に関し「これで自身の潔白を証明することに集中できることだろう」とコメントした。
断固として現職維持を主張していたトゥーマ氏はこの発表を受け、「私は犠牲者だ。私に反感を持っていた政治家たちがいた。政界の卑怯な手口で苦められている」と憤りを隠せない様子。
伯メディアの取材に対し「父や家族、我々一家の名誉は誰にも汚すことはできない」と強調し、「真実は必ず表面に上がってくる! それまで待っていてくれ」と強い口調で述べている。
今月1日には同氏が使用していたコンピューターが押収されたが、トゥーマ氏の右腕として働いていた同省外国人課統括者で捜査線上にも挙がっているルシアーノ・ペスターナ・バルボーザ氏のコンピューター押収に関しては裁判沙汰に発展するなど、捜査は難航しているようだ。