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14年W杯=モルンビーは蚊帳の外?=資金保証なく失格扱い=CBF=市開催は否定せず=政治的駆け引きも背景に

ニッケイ新聞 2010年6月18日付け

 世界の目が南アフリカでのサッカーW杯に集まる中、国際サッカー連盟(Fifa)が16日、ブラジルで開催される14年W杯の会場リストからサンパウロ市のモルンビー競技場を外すと公式発表したと17日付伯字紙が報じた。開会式や準決勝会場にとの声もあった同競技場が枠外におかれたのは、期限内の改修資金の保証提示がなかったためというが、背景には様々な政治的駆け引きも潜んでいるようだ。

 サンパウロ市会場をモルンビーに招致するため、競技場を所有するサンパウロFCは数度にわたる改修計画を提出し、5月14日にはブラジルサッカー連盟(CBF)も第5案を承認していた。
 ところが、1カ月という期限内に提出された資金計画は、第5案に基づく6億3千万レアル分の保証ではなく、新たな計画に基づく2億6千万レアル分。CBFと14年W杯実行委員会は、新計画再検討の余地はなく、クラブ側は責任を果たさなかったと判断し、失格扱いにしたという。
 モルンビー失格の決定は南アでのW杯の最中に公式発表されたが、現地にいるCBF会長のリカルド・テイシェラ氏は、サンパウロ市が14年のW杯開催地から外れる事はないと繰り返し発言。
 サンパウロ市内の競技場代替案への具体的言及はなかったが、南ア大会終了後にサンパウロ州やサンパウロ市も交えて話し合うという同氏の傍らには、コリンチアンス代表のアンドレス・サンチェス氏の姿があった。
 一方、モルンビー失格の知らせにサンパウロFCのジュヴェナウ・ジュヴェンシオ会長は、専横で政治的な決定と抗議。国内主要クラブ連盟(クルービ・ドス・13)会長選でテイシェラ氏推薦のクレーベル・レイテ氏に反対票を投じて以来、テイシェラ氏との間に軋みがあるという。
 モルンビー代替案としては17日現在、サンパウロ市が勧めるピリツーバの競技場建設案と、パルメイラスやコリンチアンスの新競技場拡張案がある。
 パルメイラスの競技場パレストラ・イタリアは12年完成予定で収容人数4万5千人。開会式開催には収容能力6万5千人との基準を満たすためには拡張が必要だ。
 他方コリンチアンスは、イタケーラに予定している新競技場建設のピリツーバ振り替えも可能との意向を表明。こちらも4万5千人収容の計画であったため、2万人分の拡張が必要だが、パルメイラスとテイシェラ氏との関係がサンパウロ同様思わしくないのに対し、コリンチアンスと同氏の関係は良好だ。
 連邦政府関係者の中にはサンパウロ州知事が積極的でない事でモルンビーが落ちたとする考えもあり、ピリツーバ招致を考えるカサビサンパウロ市長も含む政治的駆け引きの可能性は十分だ。ただし、サンパウロ州知事とサンパウロ市長は、交通網整備などへの公費支出は認めるが、新競技場建設や改修のための公費支出はないと公言している。