ニッケイ新聞 2010年6月22日付け
援協主催の「フェスタジュニーナ」が6日、サントス厚生ホームで開催され、約500人の来場者でにぎわいを見せた。サンパウロ市からも援協が用意したバスで約90人が参加。新鮮な海の幸を楽しむ人、入居者との再会を喜ぶ人など、思い思いの一日を過ごした。
援協会員課がサントス観光をあわせて用意した2台のバスは、午前8時に社会福祉センターを出発。サントス市立水族館、魚市場を回り、正午にホームへ到着した。
会場は来場者、ボランティア、入居者たちで大入りのにぎわい。刺身、焼き魚、天ぷらなどの海の幸、シュラスコ、うどんなどが並ぶテーブルの前には長い列が出来ていた。
斉藤伸一ホーム長は「天気も良く、想像以上の人が来てくれた。もう人で一杯」と笑顔で話す。
宮崎慶重さん(76、佐賀)が同ホームを訪れるのは5年ぶり。手土産という、ずっしりとした袋に折りたたみの将棋版、親鸞会の月刊誌『とどろき』数十冊を入れサンパウロ市から参加した。
サンパウロ市の弁当屋で長く働いていた経験があり、数年間同ホームの調理場を手伝っていた。「ホームでは日本食をよく知らない北東部出身の人が料理を作っている。これまで苦労された方に、美味い日本食を食べさせてやりたかった」と当時の思いを語る。
同じくサンパウロ市から参加した村上佳和さん(69、広島)、ことじさん(65、広島)夫妻は、フェスタに参加すると共に、入居者の蔵本朝子さん(98、山口)に会いに訪れた。
昔、商売の関係で知り合った仲だが、その後長らく付き合いが続いた。「歯に衣着せないが、気風が良く、よく可愛がってくれた。美人で、90を過ぎてもシャキシャキしていた」とことじさんは言う。
話しながらずっとマッサージを続けていた佳和さん。蔵本さんは「(手が)温かい。ありがとう。ありがとう」と繰り返し、二人との別れを惜しんでいた。
会館内では一般参加のカラオケ、ホームの入居者が披露したコーラス、子どもたちの沖縄民謡「くんじゃんさばくぃ」などが披露されフェスタを盛り上げた。
中でも注目を集めたのは、福島県人会スザノ支部太鼓部「白虎」の迫力の舞台。観客を巻き込み、会場には一体感が生れた。
午後3時すぎ、帰路についたバスの中で、身軽になった宮崎さんは「皆元気だった、会えて嬉しかった」と満足そうに話した。