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作曲家ノエル生誕100周年=サンバの歌詞に社会写し=地元で記念事業に盛上がり

ニッケイ新聞 2010年6月23日付け

 サンバとMPB史上に大きな影響を与えた作曲家、ノエル・デ・メデイロス・ローザの生誕100周年を迎え、ノエルが活動していたリオのサンバチーム、ヴィラ・イザベルはその記念事業で盛り上がりを見せている。22日付エスタード紙が取り上げた。
 1910年12月11日にリオ市の下町ヴィラ・イザベルに生まれたノエルは、歌手、ギター奏者、作曲家として自由奔放な生活をしながら、サンバを作曲した。結核により37年に26歳という若さで他界。短い生涯の中で、300曲以上もの名曲を世に送り出している。
 ノエルが活躍した時代はサンバが確立し始めた頃で、サンバは黒人の音楽としてみなされていた時期に歌詞に重きを置くような風習は少なかった。黒人達の間に交じって音楽活動を行ってきた白人のノエルは、そんな状況の中で最初に社会批判を込めた詩をサンバにのせて歌い始めた。
 日常的な言葉で貧困、犯罪、欺瞞、売春といった人生の影の部分を表現したノエルの曲は、革新的だった。ノエルの曲では、メロディーにも豊かなハーモニーが加えられていった。最初のヒット曲「Com Que Roupa?」は、作曲を開始した翌年の30年の作品だ。
 ノエルが活動していたサンバチーム、ヴィラ・イザベルでは、その生誕を記念してCD「Poeta da Cidade(街の詩人)」を作成。現在同チームの中心となって活躍するマルチーニョ・ダ・ヴィラ氏とその家族が収録に携わり、ノエルの代表作「Filosofia」「Fita Amarela」「Tres Apitos」などを収録している。
 「ノエルはいつも私の鏡だった。チームで活動しながら彼のことを知り、研究してきた」と語るマルチーニョ氏は、「ノエルが、サンバは黒人達だけの音楽ではないことを示してくれた」と思いを馳せた。
 同チームは、今年のカーニバルでもノエル生誕100周年をテーマに演出し注目を浴びた。ノエルの人生を物語風に描き、彼の音楽に影響を与えた人や物を取り上げたパレードでは、その街では今もなお同氏の面影が息づいていることが表現された。同氏ゆかりの地ヴィラ・イザベル区の目抜き通りには、同氏の銅像が据えられている。