ニッケイ新聞 2010年6月23日付け
移民の日の18日、サンパウロ市議会が水野龍を顕彰した。ブラジルに世界最大の日系社会ができる、その第一歩を演出した人物の顕彰。その夜は他の行事もあったとはいえ、会場に日系団体会長の姿はまばらだった。
到着時にコーヒー収穫期が過ぎていたこと、配耕後の夜逃げ、移民との金銭問題など、多くの問題が起きた第一回移民。辛い思いをした人も多かっただけに、水野への評価は今も曖昧なままだ。対照的にブラジル社会は、歴史的事実として水野の功績を認めている。
それでも、水野が送り出した最初の移民がいて、それから100年後の08年6月、百周年の記念式典がブラジル各地で開催された。
娘の妙香さんと夫の野村さんは、アニェンビーで行われた式典に出席していたそうだ。招待はされなかったが、亜国から訪れたという。それを聞いて、複雑な気持ちになった。(ま)