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トラベスチが病院で暴走=5時間待たされて苛立ち=エイズ血液を看護婦に注射

ニッケイ新聞 2010年6月24日付け

 21日、ブラジリアから約30キロ離れたセイランジアの病院でトラベスチ(女装した男性)が5時間の診療待ちに耐え切れず、エイズ(HIV)に感染した自分自身の血液を抜き取り看護婦に注射するという奇怪な事件が発生した。22、23日付伯メディアが報じた。
 問題のトラベスチ、オスマール・ミリアーノ・ピント(28)は、地元ではマイーラという女性の名前で知られていた。マイーラはその日、友人の女性が気分を悪くしたのに付き添い病院を訪れていた。友人の診療の順番はなかなか回ってこず、5時間以上待たされていたとされる。
 病院職員らの話によれば、その待ち時間にしびれをきらしたマイーラは突然医療器具室に入りこみ、そこにあった10ミリリットル用の注射器で自分の血を大量に抜き取り、それを手にして廊下に飛びだした。
 マイーラは血液の入った注射器を見せながら、「エイズにかかっているんだ」と叫び、病院内にいた他の患者を脅した。その状況を見た看護婦長が止めようとすると、マイーラは看護婦長の左手に向かって何度も注射針を突き刺した。それを止めるために割って入った女性職員も腕を噛まれる、注射器で殴られるなどのケガを負った。
 マイーラは病院警備にあたっていた連邦警察によってその場で取り押さえられ、2人の殺人容疑から現行犯逮捕となった。エイズ感染の可能性もある被害者の2人の職員には、現在エイズウイルス対策の治療が施されているという。
 17日に保健省が発表した10都市の男性4千人を対象に行われた調査結果からは、若い世代のゲイは異性愛者の男性に比べ、性行為の際の感染病予防を怠る傾向にあることも示されている。異性愛者の男性は34・6%が予防処置をとっているのに対し、ゲイの場合、その数は29・3%と低くなっている。
 また、13~24歳のゲイでは、初めての性行為の際予防処置をとったと回答した人は53・9%と半分に過ぎない。ゲイと性行為を行った経験のある男性の10人に1人がエイズ感染者と報告されており、13~19歳では33・5%のエイズ感染がその性行為に起因していることも明らかとされている。

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