北東伯水害=ダム決壊は人的ミスか=泥や瓦礫に略奪横行?
ニッケイ新聞 2010年6月24日付け
【既報関連】18日からの雨の後、22日にも強い雨を見たペルナンブコ(PE)、アラゴアス(AL)両州の水害被災地では死者数が44人に増え、親戚などに身を寄せたり避難所に入ったりした人は14万人弱など、その爪痕の大きさが少しずつ明らかにされている。
23日付伯字紙などによると、決壊したPEボン・コンセーリョのダムについては、ひび割れの存在を3月から市役所やダム使用会社に通報してあった上、大雨が降り始めたからと要請した放水も拒否された事が決壊を招いたとして、市当と企業の責任を問う動きも起きている。
また、政府防災費は全国で14%しか使われておらず、PEには1%の支出、ALへの支出は皆無であったともいう。
防災費が実際には防災ではなく事後処理費としてしか機能していない事は本紙でも何度か報じてきたが、今回の北東伯水害でも同じ失敗が繰返されている事になる。
被災地では財産全てを失った人々も多く、ガスボンベなど、水に流されずに残った品々を狙う略奪も横行。泥で汚れ、水を含んだマットレスで犬と並んで眠る子供や避難所代わりの学校の汚泥を掻き出す青年、血眼になり家族の消息を尋ねる人の姿が各地で見られる。
行方不明者数は607人と減ったものの、橋の崩壊などもあり、幹線道路も寸断され、支援物資の配布や人員救助もヘリに頼るのみという地域が多い事も、今後の対策を困難にする。
市役所や学校、保健所すらなくなった所では町そのものを移転したいという声も出始めるなど、被災地の人々が直面している現実は厳しい。
復旧作業などのための人手も必要で、PE防災局(81・3181・2481)やAL赤十字(82・3325・2430)では、ボランティア登録も受付け中だ。