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ルーラ大統領も北東伯訪問=支援は即座で無制限?=防災設備は機能せぬ両州=ゴミの山で食料あさる姿も

ニッケイ新聞 2010年6月26日付け

 【既報関連】24日現在死者51人と報告されている北東伯の水害被災地を24日、ルーラ大統領が訪問。ペルナンブコ(PE)、アラゴアス(AL)両州への支援には制限を設けないと約束すると共に、5億5千万レアルの即時供出を公表した。25日には、ルーラ大統領は26、27日に開催されるG20サミットにも欠席する意向と発表された。

 25日付伯字紙などによると、24日にPEのパウマーレスやALのリオ・ラウゴを訪問したルーラ大統領は市民にも直接接し、23日に両州の被災者救援と復興のための資金として5億5千万レアルが解放された事を公表。フォーリャ紙は、大統領が両州支援には制限を設けないと約束したとも報じている。
 通常、政府が決めた支援金の供出には最低1カ月かかるとされている事を考えると、この政府資金の早期解放はある意味で異例だ。しかも、1月から今月16日までに起きた自然災害などへの政府支援金支出は、5億3500万レアルである事を考え合わせると、政府がPE、AL両州の水害を別格扱いしているか、両州の経済力では政府がそれ相応の支援をしなければ無理と判断したかのどちらかかもしれない。
 現実に、両州の被害は甚大で、22日に被災地を上空から視察したジョビン国防相も「ハイチを視察した時と同じ印象を受けるほどの被害」と表現しているほどだ。
 17~19日に降った雨は450ミリ以上とされている上、ダムなどの強度が大水に耐えるだけのものではなかった、川沿いなどの危険地域に住む人の数が多いなどの要因も被害を大きくした今回の水害だが、PEには防災局がありながら、早期気象予報を可能にする機器がなく、ALには、機器があっても防災局がないなど、両州の防災体制の不備も明らかにされている。
 24日付フォーリャ紙には、今回の雨で大きな被害を受けた町の内17市は、03年以降少なくとも1度水害を受けた市であるとの記載もあるように、同地域は冬の水害が頻発している地域でもある。
 他の地域での災害では支援金供出が遅く、各自治体からの復興計画書が提出されてから支援金支出を決める事が多かった政府が、異例ともいえる早さで対応を決めた事を大統領選挙の行方を決めるともいわれる北東伯票獲得のための特別処置ととる人々もいる程だが、現地では、崩壊したスーパーの後片付けをする従業員の脇で、少しでも食料を手に入れようとゴミの山をあさる市民の姿が見られるなど、切迫した状況が続いている。
 欧州金融危機後の対応なども話し合われる予定のG20サミットでは、ブラジルの参加を期待する旨報じられた直後に流れたルーラ大統領欠席の報道は、北東伯の水害がいかに深刻であるかを物語っているともいえる。