繰返す悲劇の責任はどこに?=週末の雨に怯える北東伯=ダム再決壊の噂で死者も=大統領選挙対策で居残りか
ニッケイ新聞 2010年6月29日付け
【既報関連】10数年前までは旱魃をこそ恐れ、洪水など稀だった筈のペルナンブコ(PE)、アラゴアス(AL)両州の水害は、ダム再決壊の噂で人々が混乱に陥り心臓麻痺による死者を出すなど、基幹構造管理や政府防災費支出のあり方への疑問と共に、被災地の人々に植え付けられた記憶の生々しさを改めて浮き彫りにしている。
年末年始にはリオ州やサンパウロ州、この週末には南伯でも水害など、荒ぶる自然に泣く人々が後を絶たないが、北東伯のPEパウマーレスでの気候の変化や今回の水害がいかに急激であったかなどを示す記事が27日付エスタード紙に掲載された。
同紙によれば、1900年代までのゾナ・ダ・マッタ(パウマーレスなどの水害被災地がある地域)は、旱魃による砂糖きび全滅をこそ恐れていたものの、水害はごく稀で、強い雨もせいぜい道路を洗う程度だった。
この様な地域だけに、公共施設などが川の傍まで迫っているのは当たり前。24日に被災地を視察したルーラ大統領は川沿いまで建築物が立ち並ぶ状態を批判したというが、2000年に建物の二階部分に水が達するという経験をするまで、水の怖さを知らない人は普通にいたのだ。
それだけに、2000年代に入って2度目の大きな水害が、今回の様な大きな被害をもたらすと予想した人はほぼ皆無。
22日付伯字紙ではPE南部ボン・コンセーリョの貯水池ダム決壊でムンダウー川が急激に増水したと報じたが、27日のテレビ番組では、ダム決壊はなかったとのAL州政府関係者の発言や上空からの映像を放映。
一方、22日付伯字紙などは、最低1つのダムが決壊し、流された木や廃材のため下流の橋で1度塞き止められた川の水が、再び濁流となって駆け下ったと報告。それだけに、20日に別のダム決壊の噂が流れた時に、逃げ惑った人々の中から心臓麻痺による死者2人の報道も頷ける。
一定規模以上のダム建設には政府の許可が必要な上、保守作業も不可欠だが、決壊したダムは築60年。決壊前にひび割れが見つかっていた事は23日付伯字紙が報じている。
となれば、行政担当者も今回の水害の責任は不可避。政府の防災予算の配分や支出に偏りがある事なども伯字紙が連日の様に取り上げている。
ルーラ大統領のG20サミット欠席も、サンタカタリーナの水害の時は1億7千万ドルのハイチ向け支援供出。南伯訪問は地震直後のチリ訪問で後回しとし、イランのウラン濃縮問題でも東西奔走だったのに、今回の水害ではG20をおいても被災地支援というのはなぜかとの疑問の声が出ている。リオ州の水害時には、イゾポールを頭上に載せ休暇満喫中の写真がメディアに流れた事と対比し、今回のサミット欠席は選挙戦故との報道もそこここで流れている。