ニッケイ新聞 2010年6月30日付け
将来は国連や世界銀行の要職に就く事を願っていると1度ならず報道されたルーラ大統領が、今度は自らの言葉でその意向を表明したと29日付伯字紙が報じている。
英国のフィナンシャル・タイムス紙に掲載されたという大統領の言葉は、大統領退任後はラ米やカリブ、アフリカ諸国中心に、人々の生活の質向上を目指して貢献したいという内容で、貧困や飢餓のない、多極、多面的な世界実現のため、国際的な舞台での働きを希望。平和が遠い夢の世界ではなく、現実に手の届くものである様な世界を作りたいという。
ブラジルに関する記事の一部としての大統領の言葉には、ブラジルの経済力や民主主義定着はラ米でも群を抜いているとの意識を反映した「貧困と社会的な不正の海の中の栄える孤島である事は出来ない」との表現など、ブラジルの力誇示と見られかねない部分もある。
ブラジル経済の安定と近年の急速な成長の鍵は、カルドーゾ政権の経済政策を受け継ぎ、掘り下げた事で、1千万人が貧困層脱出と誉めそやした同紙に対し、ルーラ大統領自身は前任者への言及はないまま、現政権の業績には誇りを感じていると発言。他の新興国と共に国際社会で実績を挙げてきた事も強調している。
2年前までは、退任後はサンベルナルド・ド・カンポに引きこもると発言していたルーラ大統領が、国際社会での働き継続を自分の言葉で表明したのは初めて。
エスタード紙によれば、フィナンシャル・タイムス紙は、大統領の生い立ちにも改めて言及。政治的な安定と経済成長という条件下で国際的な役割を新たに担う適任者は、ルーラ氏以外にないと評しているともいう。