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希望の対アフリカ外交=伸び悩む経済交流を推進=中国勢の進出も懸念され

ニッケイ新聞 2010年7月3日付け

 ルーラ大統領が2日より大統領任期中11度目となるアフリカ大陸歴訪を開始する。16大使館の開設を提案するなど外交推進と共に、大きな伸びがみられないアフリカ大陸でのブラジルの経済活動の高まりにも期待がかかる。2日付伯字紙が取り上げた。
 2008年度は6%だったアフリカ諸国の実質経済成長率も、今年に入りその成長率はヨーロッパ諸国や米国を上回るスピードに戻った。
 アフリカ大陸53カ国でのブラジルの主な経済活動はアンゴラ、南アフリカ共和国、アルジェリア、ナイジェリア、モロッコ、エジプトの6カ国に限られ、ブラジルから同大陸への輸出の7割を占める。エジプトを除く5カ国にとり、ブラジルは10位内に入る貿易相手国ともなっている。
 ブラジルの対アフリカ諸国貿易は02~08年間で409%増加し、輸出額は02年の230万米ドルから09年860万米ドルと増えているものの、アフリカ諸国貿易全体にブラジルが占める割合をみた場合、02年に4・7%、08年7・0%、09年6・1%、10年は5月時点で5・6%と伸びは小さい。
 現在、アフリカ大陸に進出するブラジルの大手企業にはペトロブラス、ヴァーレ、カマルゴ・コレア、マルコ・ポーロ、オーデブレヒト、アンドラーデ・グチエレスなどが挙げられる。
 一方、アフリカ大陸で特に著しい動きをみせているのは中国で、その勢いはヨーロッパ諸国をも上回る。ヨーロッパ企業が占めるインフラ整備事業にも、中国勢が入り込むようになってきた。
 アフリカ大陸でのブラジルの経済活動が控えめだという見方もあるが、それは政府レベルでの介入にも関係している。中国政府の同大陸での融資は00年から始まり300億米ドルへと達しているのに対し、ブラジルの社会開発銀行(BNDES)は07年より融資を開始し、ようやく15億4千万米ドルになったところだ。
 中国政府はアフリカ諸国6カ国で課税の優遇措置などを求めた工業地域の設置に動き出しており、今後、ブラジル製品の流通が厳しくなる懸念もあがっている。
 伯政府は、外交関係の強化から経済交流の活性化を図る意向で、新たに16大使館の開設を考えている。経済規模が小さい国々向けには長期的な経済投資、政治的支援を検討していく。