環境問題解決は皆の手で=ゴミ処理法案上院も通過=20年かけた議論の末に=企業加えて回収法確立へ
ニッケイ新聞 2010年7月9日付け
1989年以降、国と自治体、企業家に環境問題の専門家なども巻き込んで取組みが検討されていたゴミ処理法案が、7日の上院特別委員会ならびに本会議で承認され、大統領裁可を待つばかりとなったと8日付伯字紙が報じた。不要になったものは何でも一緒にゴミに捨てるという、従来からのゴミ処理通念変革への大きな一歩だ。
今回承認されたゴミ処理法案が裁可、発効となれば、国や州、市などにはゴミ再生計画と具体的な目標値設定などが求められ、製造、輸入、販売などの各段階に携わる業者には、不要となった商品の回収や処理方法、最終的なゴミ投棄場所などを明確にし、実行する義務が生じる。
各地のゴミ捨て場が満杯となり、土壌や地下水などが汚染される原因ともなっている事は周知の事実だが、現実には、農薬やその包装などの危険ゴミやプラスチックや紙などの再生資源ゴミも分別せずに捨てられ、資源や場所が無駄に使われる上、命の危険にさらされているのが現状だ。ブラジル内では回収ゴミの43%は誤った場所に持ち込まれているとさえいう。
分別すべきでもされてないゴミの代表としては電池やバッテリー、蛍光灯、タイヤ、コンピューターやテレビなどの電子ゴミが挙げられるが、分別回収の必要を自覚していても、回収業者の不足などで分別回収が滞っている所もある。
また、再生資源として輸入されたゴミに生ゴミなどが混じっていて返送という事件もあったが、同法案には危険物や不法投棄となる固形ゴミ輸入を禁ずる条項もある。
家電類を含む電子ゴミの処理は、貴金属や環境汚染に繋がる物質など、素材の性質や処理法を熟知した業者の手を必要とするが、どこへ持ち込めばよいかを知らない消費者やゴミ回収業者はそのまま捨てる事も多い。法案発効後は、電子ゴミ回収は基本的に販売、製造業者らの責任となる。
同法案実行のために国や自治体に求められるのは、企業が定めた回収物が適切な形で回収、再生されているかの監視機能や、日常生活の中で出てくるゴミ回収、分別システムと再生利用目標値設定など。カタドールと呼ばれる廃品回収業者の支援体制作りや、再生資源ゴミ回収システムの確立や施設建設のための融資なども必要だ。
4月にはリオ州モーロ・ド・ブンバのゴミ捨て場での土砂崩れで周辺の住民が多数生き埋めになるという悲劇も起きたが、同法案ではゴミの不法投棄やゴミ捨て場周辺の定住を禁止するなど、段階毎の業者や消費者の責任も明白にしている。
サンパウロ市では、道路や公園などに建築廃材などを不法投棄した場合の罰金引上げなども検討中だが、人口増加に伴い増えるのもゴミ。一人一人が自分達の住環境を大切にし、地球を守ろうとする気持ちの育成も今後の課題の一つだろう。